“感覚過敏=Se劣等” ではない気がする……

感覚過敏の人の本当のタイプ

「Seが劣等機能に当たる人(=INxJ)は感覚的刺激を好みません。」という表記は語弊があると思います。

時々、それを感覚過敏と関連付けて「私はSeが劣等で人混みやうるさい音や眩しい光が苦手だから生きづらい」と言っている人を見ますが、正直関係ないと思います。
それはSeが劣等だからではなく内向型だからと言った方が正しいです。

そもそも、感覚的刺激を無くしてNiは機能しません。NiはSeで集めた情報を1つのまとまりとして認識する機能であり、外から何も集めない(=Seの使用を拒む)ことでは無いからです。「Seは外界を探索して情報を集めますが、Niは外界に目を向けずに情報を集めます。」という説明は間違っています。

景色を見て全体の印象(〜色みがかっている、〜な雰囲気など)を認識する機能がNiであって、景色を見ずしてその光景を想像するのはNiではありません。Niは預言や予知夢のような超能力ではなく、必ず現実に何かしらのきっかけがあります。

なので「INxJは感覚的刺激を嫌う」のような説明にはものすごく違和感を感じます。


「劣等機能に苦手意識を感じる」という事は間違っていません。間違っているのはSeとNiの解釈です。
「Seは外から情報を集めます。Niは内側からの閃きを信じます。」という解釈はあまりにも簡略すぎます。
外向知覚機能(SeやNe)は外部から情報を集め、内向知覚機能(NiやSi)は内部から情報を集める機能ですが、内部から情報を集めるためには外部から情報を集めることが必要不可欠です。人の内面にある記憶や内面から生じる閃きや推測もすべて外界から取り入れたものがきっかけになっています。

Seは外界から取り入れた情報をそのままの細かい状態で認識し、Niは外界から取り入れた情報を内部で1つにまとめて認識します。
この「内部で1つにまとめる」という一段階を踏まえることによって「内部から情報を集める」と言われるのであって、元から内部にある情報にしか目を向けない、というのはNiではありません。


それではSe劣等の人が本当に嫌って避けたがるSeの使い方は何なのかというと、必要以上に外界の情報を集めようとすることです。
これは「音の大きさ」「光の眩しさ」などの “程度” ではありません。情報の “量” を指します。
INxJは進んで外出をしたいと思わないことも多いでしょう。それは外界からの感覚的刺激が “強すぎる” からではなく “多すぎる” からです。それを嫌うからではなく、必要ないからしないのがINxJです。

例えば、感覚過敏のINxJとISxPがいたとします。
その二人が大規模な祭のパンフレットを見てこう思うでしょう。
INxJは「どうして人々はこのような目的もないものを楽しむことができるのだろう?行ったとしても何もならない。自分はそういう環境が苦手なのもあるから他の事をしていた方がずっと得だろう」と思います。
ISxPは「これは面白そう。行ってみたいけど自分は騒がしいのが苦手だから大丈夫かな?どうしようかな?とりあえず行かないのはもったいないから行ってからやめるかどうか決めよう」と思います。

好みは人それぞれなので、必ずしもINxJが断りISxPが行くわけではありませんが、その結論に至るまでの考え方はこんな感じです。
Niを志向するINxJは前もって何が最善であるかの判断をしますが、Seを志向するISxPは実際にやる時まで多くの可能性を捨てきれないのでやってからじゃないと答えははっきりしないと考えます。


同じ「強い感覚的刺激が苦手」であっても、それがどのように考え方に出るかはタイプによって異なるので、感覚過敏があるからといってその人がSe劣等だとは断言できません。Seは感覚的刺激を “ありのまま” 受け取る知覚的特性であって、感覚的刺激の全てを指すわけではないからです。

感覚過敏であっても、程度が抑制された感覚的刺激(例えば映画館の大音量は苦手で避けたいが、テレビで音を控えめにしてそれを見ることは好き)によって活気づけられるのならSe劣等ではない可能性があります。
同じ「テレビを見る」という行為にしても、その場面の移り変わりに面白みを感じるのであればS型ですし、場面全体の繋がりが分かることに面白みを感じるのであればN型です。




暴飲暴食=Se劣等?

それからSe劣等の特徴として、Seグリップした時の暴飲暴食が上げられます。
確かにSeグリップによって暴飲暴食をすることはありますが、暴飲暴食する人の全てがSeグリップをしているわけではありません。

私はグリップの説明は全ての人に当てはまるような書かれ方をしているように感じます。
私はFi主機能なのでTeグリップによって批判的になることはありますが、他にもSeグリップのように暴飲暴食したり、Feグリップのように感情的に騒いだり、Neグリップのように将来が不安になったり、Siグリップのように過剰に体調を心配することもあります。

グリップの説明を読んで「自分は不健全な時にこうなるから〇〇タイプだ」と決めるのはミスタイプの元になります。
グリップは「ストレスを感じるとどうなるか」という単純なものではなく、「取り乱して普段と異なっている自分はどんな状況か」です。

いつも怒っていて人に批判ばかりする人がいたとします。その人が怒るという事はストレスを感じているだろうという事から、「IxFPが不健全になってTeグリップすると批判的になるからあの人は不健全なIxFPだ!」とは言えません。
グリップは “いつも不健全な状態” に適用することはできません。
いつもイライラしているような人はその人なりの考え方と周りの考え方との間に不一致が生じていて、その人の素の動機から怒りが現れていることの方が多いからです。

グリップの「長期間ストレスに晒されると〜」は長らくストレスを受けて精神疾患になってなかなか治らないというような状況を指す言葉ではなく、我慢が爆発して一時的な反動(性格的なギャップ)が出るような状態を指します。

グリップ時に感じる事は単に「あの人相当イラついてる!」ではありません。グリップ状態にある人を見て真っ先に感じるのは「あの人あんな事する人だったの!?」ということです。
普段とのギャップを感じない不健全な人であれば、グリップしていない可能性の方が高いです。

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