溶けたい夜

こんにちは。久々に黒い洋服を着てテンションが上がったりんねです。

かなり暖かくなってきて、昼間はふわふわ夜はとろとろ、風が顔を撫でていく感じが愛おしい季節になりましたね…。
私は特に夜のとろとろした風…というか空気の流れが好きです。あの、何にも縛られないで囚われないで、そっと、そっと、冷たい柔らかい感触で頬を撫でて抜けていく感じ。優しくて儚くてほだされていくような快感。心の柔らかい部分をそうっと包む緩やかな冷たさ。
車の通らないような、静かで真っ暗な夜道を風と共に抜ける時は思わず口角が上がってしまいます。

このような夜、風に包まれて溶けてしまいそうなとろとろな夜に染まると、自分が人ではなくて夜になった様な気がします。
爪先が、睫毛が、頬が、少しずつ黒い夜にとろとろ溶け出して、誰からも見えなくなって、忘れられてしまうような、そんな感覚。
でも、別に寂しいとか虚しいとか感じてはいないんです。どちらかと言うと、満ち足りてるんですよね。夜で、満ち足りている。

お散歩、とりわけ自然の中でのお散歩はヒーリング効果があると聞いたことがあります。もしかしたらそれに近いのかもしれません。慌ただしい世界からの束の間の安寧…。生きてると色々ありますからね。青二才の私が悟った様に言うことでもないかもしれませんが。

世間は、明日とか昨日とか、しがらみとか運命とか、因果応報で魑魅魍魎で奇々怪々で、情報過多。ずるっとべたっとぬかるんでいるような、ごちゃついたノイズが煩くて、私は時々…いえ、嘘はやめましょう、かなり頻繁に、外界との関わりを遮断してしまいたくなります。

そんな時、私は夜に呼ばれている気がします。
疲れたなぁ…という気持ちをふわぁっと浮かせてとろっと溶かして欲しくなるんです。
浮かせて溶かすなんて、洗剤のようですね。あは。 
夜は、心の汚れや膿を洗い流す洗剤。

夜に救われて、私は今日も生きています。


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