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雑記 推せる飲食店との出会い

 以前、「推し」と「好き」の違いは「他の人に勧めたくなる」か「独占したい」かだという解説を読んだことがあり、とても腑に落ちたのでそのように定義します。

 10年ほど前、ラーメン店を巡ることにハマっており、ラーメン雑誌を購入して店を回るなんてことをしていました。
 月に2から3軒ほどのペースで、基本的には新しいお店に行くようにしていたのですが、そんな中で、仕事帰りに立ち寄ったとあるラーメン店で衝撃的な出会いをしました。

 スナックやバーのようなお酒を提供する系統のお店が並ぶテナントに入っていて、窓は小さくて外から中の様子も見えず、中に入っても十数席くらいしかないようなお店でした。
 その日は夜も遅かったので、店内に客もおらず、店の中程にある券売機で食券を買う時にマスターが厨房から声をかけてくれたように記憶しています。
 魚介系だしの優しい味わいの塩ラーメンを食べて、帰宅して、ほっと一息ついたとき、「あのラーメン、また食べたいな」と思ったのです。帰宅にさほど時間はかかっていませんので、もちろんお腹は満ちています。しかし、すぐにそう思ったのです。
 初訪問が定休日の前日だったので、1日あけて、再訪問しました。明らかにペースがおかしいですが、それでも待ちわびていた感じがしていたと思います。

 そこから、閉店までの数年間、ラーメン店めぐりをしていたペースかそれ以上に通いました。一人でも行きますが、家族や友達と一緒に行ったり、職場の人に勧めたり、その友達が別の友達や家族とも行ったり、その当時は「推し」という言葉は知りませんでしたが、「推し」ていたことは確かです。
 子供も気に入り、誕生日にどこかに食べに行こうという話になったときにそのラーメン店に行ったこともありました。トッピング全部マシみたいなことをしていたと思います。

 推しラーメン店が閉店してから数年間、お気に入りの飲食店は何軒かできましたが、「推し」といえるほどでもなく、もうそういうお店には出会えないのだろうと思っていました。
 しかし、先日、出会ってしまったのです。

 現在はお弁当を持参することがほとんどで、あまりランチを外で食べることもないのですが、同僚とランチに行く予定を立て、とあるピザ屋へ行きました。
 丸ではなく四角いピザを提供するお店で、マスターがローマでは四角いピザがメジャーなのだと教えてくださいました。
 手のひらサイズのピザは単品だと500円から700円で、ランチだとドリンクと前菜3種まで付くのでかなりお得でした。
 お得とか関係なく、とにかく手間暇かけたピザが美味しいし、前菜も全て手作りでもちろん美味しいですし、そもそも野菜の仕入れもファームと提携していい野菜を提供してもらっているらしいし、食器も種類が豊富で美しいし、マスターに何を聞いてもしっかり回答してくださるし、素晴らしいお店だと思って午後の仕事も頑張れました。
 その日の帰宅後、家族に話していたら、「あのピザ、また食べたいな」という気持ちがふつふつと湧いて来たのです。しかし、翌日もその次の日も定休日でしたので、営業日である昨日まで再訪問することができませんでした。
  家族に提供すべく、持ち帰りをしたのですが、やはり家のオーブンでは温め直しがお店のようにはいかず、本来の美味しさの3割減くらいになってしまいました。今度、お店に連れて行くと決めました。

 飲食業界は参入障壁が低く、だからこそ数多のお店が出ては消えてしまう業界なのだと思います。
 お気に入りの飲食店がなくなってしまう前に悔いのないように「推し」たいと思います。
 推しは推せるときに推せ、という名言や、某エルフが主人公の漫画に食べられるときに食べないと二度と食べられなくなった味がたくさんあるというやり取りがあるように、タイミングを逸してしまうともう二度と出会えないこともあるのですから。


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