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企画参加:THE YELLOW MONKEYと吉井和哉の歌詞の世界。#3000字に込めた偏愛

偏愛しているものを存分に語りましょう、という企画です。企画者さまは、椎名トキさんです。ありがとうございます。

私の偏愛は「吉井和哉の歌詞」です。好きなもの系の企画のときは、きまってTHE YELLOW MONKEYと吉井和哉を語っているのですが、今回は「偏愛」なので、歌詞にフューチャー。

私は、高校生のときからずっとTHE YELLOW MONKEYが好きで、曲も好きなんですけど、吉井和哉の書く歌詞がとても好きなんです。すごく私の人生に影響を与えています。

シングル曲はそうでもないかもしれないけれど、吉井さんの歌詞って、ちょっと変わってるんですよね。表現がとても独特。ロックなんだけどちょっと昭和歌謡っぽいというか、「吉井さんっぽい」としか言いようのない独特な世界があると私は思っています。たぶん、ちょっとダサい歌詞もあるんだけど、そこも魅力なんですよ。飾らないというか、生々しい言葉をさらけ出している感じがとても好きで、私の今までのいくつもの絶望を救ってくれました。特に好きな歌詞をいくつか紹介させてください。歌詞の解釈は完全に私の個人的な意見で、別に批評家でも専門家でも何でもありませんのであしからず。

まず「JAM」。この前20代の子が知らなくて驚いたんだけど、私世代(40代)なら聞いたことあると思います。「イエモンといえば」的な曲ですから。お気に入りのフレーズはこちら。

素敵な物が欲しいけど
あんまり売ってないから
好きな歌を歌う

THE YELLOW MONKEY「JAM」

最高でしょ。本当に素敵なものって、そんなに売っていないじゃないですか。お金で買えないもののほうが素敵だったりするじゃないですか。だから、好きな歌でも歌って、素敵な気分にならないとやっていられないよね。

JAMといえば最後。

外国で飛行機が墜ちました
ニュースキャスターは嬉しそうに
「乗客に日本人はいませんでした」
「いませんでした」
「いませんでした」
僕は何を思えばいいんだろう
僕は何て言えばいいんだろう
こんな夜は遭いたくて
遭いたくて遭いたくて
君に遭いたくて
君に遭いたくて
また明日を待ってる

THE YELLOW MONKEY「JAM」

もうさ、数年前、新聞に大きくこの歌詞が掲載されたとき、今みたいな時代だからこそ、こういう歌が必要なんだ、と思ったよ。あとね、この最後の「君に遭いたくて」の「君」は、恋人やパートナーじゃないんだよ。これ娘さんのことなんですよ。それを知るとなおさら、ぐっとくるんです。世界の他人事みたいな悲惨なニュースに胸を打たれても結局何もできずに、家族に遭いたくなる夜って、どんなに寂しくて、どんなに優しいんだろうと思って。もう泣いちゃうよ。

次は「NAI」という曲。「ない」と読みます。
さっそくメジャーじゃない曲だけど許してね。この曲は、私がTHE YELLOW MONKEYの曲のベスト5を作るとしたらかなり上位に入ります。好きが過ぎる。

何もないあなたと
何もないわたし
燃えるほど愛し合って
結ばれてるのに
キリキリ胸が痛むのはなぜだろう?
どこかに消えてしまいそう 今にも

THE YELLOW MONKEY「NAI」

こんな始まり方。もう切ないでしょ。私は、自分のことを本当に何もないと思っているから、この切なさに胸が痛むのです。この歌のすごいところは、最後になると歌詞が「ない」しかなくなるところ。

なな何もないあなたと
なな何もないわたし
なな何もないあなたが
ななななななななないないないないないないないないないないない……

THE YELLOW MONKEY「NAI」

「ない」とだけずっと繰り返し歌っているんです。そんなに、んです。何も。何もない。ふたりには何もないんです。ないことで繋がっているのかもしれない。と思ったりもします。

次は「離れるな」。これもベスト5の上位ですね。特に秀逸で大好きなフレーズ。

燃えるような恋とは
いったい何だろう
あの日君は心臓の匂いがした

THE YELLOW MONKEY「離れるな」

心臓の匂い。恋をしている相手が、あの日心臓の匂いがした、って何て詩的なんでしょう。こんな表現、できませんよ。

それで言うと「人生の終わり」という、吉井さんが亡くなった祖母にあてた曲なんですが、これも素晴らしい。

君の愛で育ったから
これが僕の愛の歌
スローモーションで花が散る
たくさんの思い出ともに
泣いてる
血が泣いてる
血が泣いてる
血が泣いてるんだよ
血が泣いてるんだよ

THE YELLOW MONKEY「人生の終わり」

おばあちゃんが亡くなった悲しみを「血が泣いてる」と表現するんです。もう自分自身の身体全体が悲しみに侵食されて、「血が泣いてる」って、どうしてこんなに美しくて生々しくて切ない表現ができるのだろう、とため息です。

「I CAN BE SHIT,MAMA」もかっこいい。

アッカンベーしたまま
踊りませんか
アッカンベーしたまま
夢を追いましょう
アッカンベーしたまま
時代に合わず
だから切り裂くぜ
スパースパースパー
黄金のろくでなし
大いに結構!!進め!!

THE YELLOW MONKEY「I CAN BE SHIT,MAMA」

アッカンベーしたまま、なんて歌詞に使います? そういうところも大好き。ろくでなしで結構!進め!

吉井さんはソロ曲も名曲が多いです。ソロな分、独特さも増しているかもしれないです。
「FALLIN’ FALLIN’」という曲は、メロディもかっこいいんですけど、歌詞が独特。正直、意味がわかりません。

夏の蝉この抜け殻が
無意識で戯れ
トゥホップステップ
ジャンピングイントゥデス
ランナウェイ ランナウェイ
セミダブル溺死体
青春の溺死体
束の間の溺死体
出口は入り口だ

YOSHII LOVINSON「FALLIN’ FALLIN’」

意味わからないでしょう。私もわかりません。「考えるな、感じろ」の歌詞です。でも、好きなんです。こういうフレーズを生み出せる彼の感性が大好きなんですよね。

ソロ曲だと「SIDE BY SIDE」という曲も最高なんです。

破れている 中身出てる
可愛い顔の BABY 君だって
糸の付いた針をくわえ
ふさいでやろう
BABY SIDE BY SIDE

YOSHII LOVINSON「SIDE BY SIDE」

こんな始まり、もう痺れるでしょう。

鋭利な鋭利な喫茶店には
シガレット ボサノヴァ 
スィーツ ベーコンエッグサンド
無意味な過去のテーブルで
ほおづえ付いたらまた斬られるぜ

YOSHII LOVINSON「SIDE BY SIDE」

「鋭利な喫茶店」とか「無意味な過去のテーブルで頬杖ついたら斬られる」とか、意味はわからないんですよ。でも、その言葉選びが最高に好きです。

最後は

無理に笑うのよせ

YOSHII LOVINSON「SIDE BY SIDE」

で終わります。この一フレーズに、どれだけ救われたか。

「TALI」も大好きです。「たり」と読みます。特に好きなフレーズ。

一寸先の闇で
木端微塵になっても
怯えることなど何もない
永遠ってむなしいもんさ
愛してるのは君だけだ
「辛かった」「楽しかった」
積もうね 積もうね
BABY I LOVE YOU

YOSHII LOVINSON「TALI」

一寸先の闇で木端微塵になっても怯えなくていいなんて、どんなに心強いことでしょう。一緒に「辛かった」と「楽しかった」を積み上げられる相手に出会えれば、一寸先の闇なんて、恐れるに足らないのかもしれません。明日を怖がらずに過ごせたら、どんなに安寧なことでしょう。私はこの歌詞にそんなことを感じて聴いていました。

あああ……
もっと語りたい歌詞がたくさんあったのに。やはり文字数を設定していただいたのは正解ですね。際限なく語ってしまいます。

最後に「VS」のイントロを。

平々凡々選んでも
運命の指令はドSです

吉井和哉「VS」

もー! 本当に人生ってそうじゃないですか??
こちとら平和に穏やかに暮らしたいんじゃぼけ! と言いたくなるようなことばかり。この曲は「そんな毎日だけど頑張ろうぜ」系の、鼓舞してくれる曲です。

まだ勝敗はわからない

吉井和哉「VS」

人生は勝ち負けじゃないけど、ドSな指令を出してくる運命とやらには、勝ちきって生きていきたいな、と思う日々です。

3000字、ちょっとだけオーバーしちゃいました。すみません。
熱く語らせていただき、感謝いたします。お読みいただいた方、ありがとうございました。

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