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極北の雑多な記録

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カナダの極北ですごした日々のこと、出会った人たち。
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『ありがとうと言って』

授業が始まる前の1週間、大学はサークル勧誘の熱気で包まれていた。各サークルがブースを設けて、新入生を勧誘している。 私も漠然と、何か美術に関わるサークルで友達を作りたいと思い、会場へ足を運ぶ。期待と不安で胸がいっぱいだった。絵を描くサークルのブースで、男性が座って本を読んでいるのを見つける。 「あの、興味あるんですけど、話聞けますか?」 私が声をかけると、彼は少し驚いて顔を上げた。 『もちろん、座って!』 サークルの代表者らしい彼は、とても親切に説明してくれた。話を

引き続き詰みまくるカナダ2日目

電車で1時間ちょっと、1度乗り換えを挟んで、大学の敷地内の駅に着く。 冬には氷点下40度にもなる地だが、さすがにまだ雪は降っていない。 8月も終わりの、大学キャンパス。 とりあえず寮に向かうと、道のあちこちにウサギやリス、そして見たことがない大きな鳥が我が物顔で歩いている。 両手でお食事中のリス……か、かわええ…… カナダだ… 突き抜ける青い空で、雲一つない。1年間留学していたが、1度も傘を差さなかったくらいだ。 私の寮は、4棟×13階とかなり巨大だった。 恐らく

1日目?にして詰みまくるカナダ生活

「1日目にして」というタイトルが正しいのか、ちょっと迷う。 というのは留学先に着く前から詰みまくったから。 私は大学生の頃、1年間カナダに留学していた。 8年ほど前のことなので、記憶は曖昧かも。 逆に言えば、今でも覚えてることって自分の中で強烈だったことばっかり。 日本からバンクーバーを経由して目的地に向かう。 ここでまず、最初の問題が発生する。 学生ビザ発行のため窓口に並ぶが、10ある窓口のうち1つにしか係員がいない。しかも、めちゃくちゃタラタラと仕事をしている。タラ