あかるい未来

電車に乗って車内を見渡す。口を開けて眠るサラリーマンや文庫本を読むOLやスマホをいじる学生やスーパーの袋をぶら下げた主婦や優先席に座る老人、彼らがどこへ行くのかは知る由もないが、それぞれの生活をこなし、日常を消尽しているかのように思われた。

困難は多かれ少なかれ彼らに襲いかかり、時に打ち勝ち、時に敗北する。その度に得難いものを得て、あるいは失う。当たり前のようにこの世は不平等で、足を踏み外したり、翼を損なうこともままあるのだろう。

しかし、光がさす素晴らしい風景や、愛おしさを感じる心の動き、かがやける人生の一瞬、それらを享受するならば、他の出来ごとも受け入れなければ……受け入れなければ、それは欲張りというものだ。

これは暗い話だろうか?
いいえ。あかるい現在と未来の話だ。
それでも彼らは生きている。
それでも、いま、彼らは生きている。
喪失も失望もマスクも過去になる。
そして2022年、おだやかであれ、はげしさであれ、得難いものを得ながら進みゆくんだよん。遠くを見れば、なにかが光っているのが、ぼんやりと、しかし確実にみえる。
go ahead!

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