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「ポップ・スピリチュアリティ ーメディア化された宗教性」堀江宗正著(岩波書店)を読んで


  本を手に取った時、わたしには分厚く感じましたが最後まで面白く(というか)読ませてもらえました。

面白い、というのは自分が辿ったことや周りの人たちの当時の様子であったこと、アニメやマンガなど馴染みを感じることも多く出ていたからだと思います。

本の中で江原啓之さんが多く登場してきますが、江原さんが日本のスピリチュアリティを語る上で大事な位置を占めていることがわかりました。

80年代に友人がシュタイナーの話を聞かせてくれ、90年代に入り違う友人からエドガー・ケイシーの本を貸してもらったのが、わたしにはスピ系に接する始まりで、『現実』と思っているのと違う考えや思想に触れ、うれしかったというのが正直な気持ちでした。

子供のころはSFをよく読み、怖い霊の話は嫌だけどそれ以外のUFOや超能力など不思議な話は好きで、スピリチュアリティなことを好きになる素養は備わっていたと思います。

『現実』といわれるものと違う、そういうものもあるというのが「救い」のような感覚を持った時もあります。でもそれは「危うい」とも思いました。本書に出てくるスピリチュアル系の人の中の「特権意識」「従属性」を感じる人が少なくなく、それに違和感を持つと同時に怖さも感じました。「特権意識」を持つようになった人たちからは、そうでない(スピ系に理解を示さない、知らない)人への冷たい視線を感じ、中にはわたしから見たらヘイトに近い持ち主になっていく人たちもおられました。

また、自分が神様とつながる、神秘体験をしたいという思いが本当に強く、本当にそうであるかもしれないけれど、そういうことは事実あると思っているけれど「神様の声が聞こえた」「お告げを受けた」などと多くの人が言うのにも少し違和感を感じていました。

今も、わたしはスピリチュアルなことに興味はあります。でも一番大切なのは現実に根差した日常生活だと思っています。そこをないがしろにして本来のスピリチュアリティに繋がりにくいのでは?とも思います。

本書はテレビ番組やアニメ、マンガ、サブカルチャーやSNSなどに渡り、いろいろな調査や、実際に話を聞きに行かれ、そのレポートによる考察もたくさん書かれています。

わたしは自分のことに合わせて思ったことを述べさせてもらいましたが、読む人がそれぞれの経験や思いに合わせて考えられる、とても興味深い本だと思います。是非ご一読ください。
#ポップ・スピリチュアリティ
#堀江宗正
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