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【スクスト】観測線はステラプリズムの中を通れないのでは?

観測線とは、意識が放射するフィフス粒子の波のこと。

©︎SQEX

このえちゃんの発言にあるように、ステラプリズムはフィフス粒子の波を分波する。
元ネタは当然、光がプリズムによって分けられ虹になる現象のことだろう。

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しかし、フィフス粒子は物質だ。光ではない。
物質はプリズムにぶつかってしまうので、通過できないはず。

ニュートリノのように、電荷がゼロで質量も軽いなら貫通できるが、残念ながらフィフス粒子は電荷があり、結晶化できるほどの質量も持っている。

そもそも、ステラプリズムはフィフス粒子の結晶なんだから、そこへフィフス粒子をぶち込んで完全スルーなんてありえない。

よほど凄い勢いでビームを放てば通過できるかもしれないが、その場合はエネルギーの大半を失い、周波数は小さくなってしまうだろう(一般的に、エネルギーが高いほど周波数は大きい)。
さらに、ステラプリズムもどんどん消耗していく始末。

この問題を解決するためには、やや反則だが物質ではない第二のフィフス粒子を導入するしかない。

素粒子は物質粒子(フェルミオン)力を伝える粒子(ボソン)の二つのカテゴリに分けられる。(下図の右側にあるゲージ粒子とヒッグス粒子がボソン)

©︎ひっぐすたん 素粒子ってなに?

ボソンのうち、図の右上のゲージ粒子は自然界の四つの力を司る。

©︎ひっぐすたん ゲージ粒子ってなに? 力ってなに?

・電磁気力はお馴染みの電気と磁気のこと。
これを司るのは光子で、光子が単独で飛んでいくのは電磁波、つまり光。

・強い力は原子核を形成する力。電磁気力より強いので強い力という安直なネーミング。

・弱い力はあまり馴染みがないが、原子核が崩壊するときにはたらく。電磁気力より弱い。

・重力はお馴染みだが、それを司る重力子は実は未発見。

この四つの力だけでこの世は回っている。実際、身の回りの現象はだいたい電磁気力と重力で片付く。

……で、ここに第五の力《フィフス・フォース》を導入したらなんかカッコよくない?
と言うことで、第五の力を司る素粒子フィフスボソンを無理矢理ねじ込んでみる。
光子と同じく質量はゼロ、電荷もゼロ。これでステラプリズムを貫通させられる。

四つの力と各素粒子は対応していて、例えば電荷を持つ物体が動くと電磁波が発生するし、質量をもつ物体が動くと重力波が発生する。
ならば、フィフス粒子が動くとフィフスボソンの波、すなわち観測線が発生する。

「……これこれ、沙島君。またフィフス粒子とフィフスボソンを混同してるぞ。レポート書き直し」
 博士が助手の実験室に入ると、彼女は机に突っ伏していた。レポート書き直し、という博士の言葉は耳に入っているのかいないのか。寝ているわけではないが、全く反応がない。
 彼女はここ数日、ずっとこんな調子だった。それを知っている博士は、それ以上咎めることなく、レポートを机の上にそっと置いて部屋を出て行った。
 扉が閉まってからしばらく経った後、彼女はゆっくりと顔を上げ、博士が置いていったレポートをちらりと見る。観測線について記載してあった場所に赤ペンで印が入っているのを視認すると、修正する気もないのか、再び顔を机に押し付けた。
「幹子ちゃんがいたら、教えてくれたのに……」
「お困りのようですね」
 それは、今最も聴きたくない声だった。全身の神経を逆撫でされたかのごとく、沙島助手はびくんと身体を震わせると、キッ、と侵入者の顔を睨みつける。
「来ないで!」
「まあ、恐い。せっかく、この世の条理を識る私が教えてあげようというのに……」
「うるさいうるさい! あんたなんか、幹子ちゃんじゃないっ!」
「まだそんなことにこだわっていたのですか。あなたも早く人間のしがらみから離れて、転生の研究を少しでも進めてほしいものですね」
 そう言って、緑髪の女——〝モルガナ〟は去っていった。
 再び、机に突っ伏す沙島助手。もう、頭の中はぐちゃぐちゃだ。研究どころではない。
「……どうにかして、こんな研究、やめさせなきゃ……」

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