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やっとやる気になってきた

今日はこちらのアーカイブを視聴しました。
素人の私にとってはボリュームたっぷりなので、申し込んでからずいぶん時間がかかりました。
患者が聞くべき内容ではないかもだけど、漫画描くためにも当時の自分の病状やカウンセラーの対応について振り返りたかったので。
あ あと一応対人援助職の経験者でもあるので… ただ患者として申し込んだわけでは…ないぞ…?

北川先生の講義は精神分析の歴史をしっかりたどって下さるのがおもしろいです。
それを踏まえての現代の治療の実際や押さえておくべきポイントが、平易でありながら精錬された表現で語られます。
(個人的に京都なまり助かる)
今回はパーソナリティ障害のセミナー。後半はナルシシズム(自己愛)についての講義もありました。
かゆいところに手が届くラインナップがうれしかったです。

私が一番長く苦しかったことのひとつがBPD(境界性パーソナリティ障害)の症状でした。
安定しない対人関係。
解除できない緊張状態。
慢性的で強烈な自己否定感や無価値感。
苦しかった当時の状態をつぶさに確認することができました。

さらに自己愛性パーソナリティ障害の内容が、もう、私が煩っていた状態そのままでした。
恥ずかしすぎて今でなければ直視できなかったかも知れません。
自分に不利益になるほどのプライドの高さ。尊大さ。
周りの人が腫れ物に触るように接していたのを覚えています。
当時の私はそんなものすごい人間になりたいとか思いたくて思ってたわけじゃないけど、もう宗教にどっぷりでそれで自分の価値を守っていたんですね。
けど一方で、誰とも生きられない自分が無価値だといった、両極端でバラバラの自己像が確かにありました。

そんなパーソナリティーの特異性に、当時のカウンセラーが私に対してどんな気持ちで接していただろうとすごく考えました。
講義内の「(カウンセラーは絶対に)怒らない、逃げない、壊れない」という言葉がまさに私のかつてのカウンセラーの姿勢を体現していて大きく頷きました。
安定した絶対的存在となってくれた心の内で、私のカウンセラーはどのような逆転移を抱えていたか。

私自身、放課後デイや不登校支援に携わっていたら、当時の自分に似たようなパーソナリティを抱えた子に遭遇してきました。
尊大な態度、心を繋いでは突き落とすような攻撃性、支援者側の心をズタズタにする天才かと言わんばかりの子が結構たくさんいるのです。

結局それは「これからもたくさん遊んでほしい」「私を嫌いにならないで」「本当の私を見つけて」というメッセージだった事を一緒にひり出すまでにすごい膨大なエネルギーを費やしました。

ちょっと覚えていないけど、私もかつてカウンセラーにそういうフィードバックをもらった経験があるんだろうと…
言葉ではなかったけれど、「私はあなたを見捨てたりなんかしないわよ」という気持ちを言外に受け取っていたんだと思います。

当時の私のカウンセラーは、チームやおそらくスーパーバイザーなどにも満足に恵まれない中、私の病状に対する感情を一人で抱えていたと思われます。にもかかわらず、プロとして私の病状と人格を正しく理解して対応し続けてくれた事実があるのです。改めて敬服しかありません。
こういうカウンセラーが日本の現在の精神医療の発展を切り開いた事をたくさんの人に知ってもらいたいと改めて思いました。

さらにBPDの脳機能の特徴について、初めて知ることが多くて驚きました。
色々ありましたが、私が特に気になったのは「BPDの人は他人の表情の認知能力が通常より早く、しかも真顔を脅威として捉えるという特徴がある」という事。

真顔を機嫌の悪い顔として捉えてしまうという勘違いもありますが、人の顔色や思っていることを強烈に察知する能力については、私は確かにすごかったと思います。

霊視系の占い師が私を見たら「すごい波動ね」と大概の人が言います。
状況や人の顔色などを感知するアンテナが通常2~3本なのに私は8本ぐらい立っているのだそう。
「こうならざるを得なかったんですよね」
と言うと、「そうね、あなた大変だったと思う」とすでに見てきたようにねぎらわれます。

私は日常はもちろん、診察室や面談の現場での治療者の一瞬の目の動きや一挙手一投足はものすごい集中力で捉えていました。
(かといって残念ながらそれを生かして上手に生きる安定性はないんだよなぁ…)
そんなBPD特有の能力で、治療者の臨床力や心の隙までも掌握して手綱を取ろうとしてしまう。
意外と思いもよらぬところで効いてしまって、本当はこうはなってほしくなかったのに…という、治療関係の破綻を結局招いてしまうのは、私の問題点でもあった気がします。
治療者のプロとしての技術と治したいと思う患者としての本質を信じ合って治療関係を継続させてきた今がある。。。
と、勝手に私は思っているんだけど、そういう事をちゃんと描けるように、必要な知識を少しずつ得ていきたいと思います。

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