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どうなる2023シーズン

【記載:2023/04/09】
1月4日からスタートした剪定作業。
りんご→もも→りんご→もも→プルーン→洋梨と作業を進め3月上旬に終わりました。

今年の東京は、桜の開花が10日ほど早かったようですね。
今頃は、花も落ちている頃でしょうか。

北東北の桜は、これまではGWに満開になるイメージでした。
今年は、県南地域で3月下旬に開花がみられ、県央の標本木もついに4/6開花。現在(4/9)満開のようです。わたしが住む地域でも桜の開花が始まりました。

その桜に連動するように、果樹の育成も進んでいます。
りんごは3/23に、芽を覆う硬い皮から緑色の葉がのぞく「芽出し(めだし)」が見られました。順調に生育が進むと、1カ月後の4/23頃がりんごの開花日です。

20年経験のある先輩生産者さんが「これまで経験のない早い芽出し」と仰っており「何らかの障害がでることでしょう」とも。。。。

今年4年目の果樹農家が想定できる障害は、遅霜による収穫量の減少や正品率の低下でしょうか。

りんごの芽は、「芽出し」から生育ステージが進むごとに耐寒性が低くなるという特徴があるようです。一番寒さに弱いのが開花直前。この時期に、気温が氷点下になってしまうと、授粉できる雌しべが死んでしまい、実が成らないという悲劇が!

【参考】2023/04/01 いわてアグリベンチャーネットより
https://www.pref.iwate.jp/agri/i-agri/technical/2004987/2004992.html


正常な雄しべ(撮影りんごろう)



2021年 霜による障害の発生した雄しべ雌しべ(撮影りんごろう)

長野を含め、りんご生産が盛んな地域は3~4月は遅霜や春雪の、寒の戻りが珍しくない北国。この時期、暖かすぎて果樹の生育が進んでしまうと霜や寒さの影響で凍障害の可能性が高まってしまいます。

2021年はニュースで取り上げられるほど、各地で凍障害の被害が大きかったのですが、今年も同じことになるか。。。2023年の果樹の生育は、2021年より10~15日も早いのですよ。20年の経験がある先輩でも、「何らかの」と予測が明確に出せない不穏な春を迎えています。

早速、4/9は朝の気温がマイナス2度。昼にはみぞれか雪の予報です。
りんごは現在、上記に掲載した生育ステージでいう「展葉」から「グリーンクラスター」の時期なので、持ちこたえてくれそうですが、桃が開花直前なんですよね。桃が危ない。。。
そこで今年は、凍障害対策として新しい試みを行いました。

それは、寒天と糖蜜で芽を寒さから守れ!作戦です。
これは民間信仰ではなく。長野の生産者さんと寒天メーカーの寒天ぱぱさんが共同で作成した霜対策の商品で、糖蜜と寒天で芽をカバーして寒さから守る方法らしいのです。

4/8の夕方に桃の芽に散布しましたよ。
商品の封を開けたところ、黒糖の溶けた液と寒天パウダー。
これを水で希釈して、桃の芽に散布。
手についた黒糖液は、舐めたい衝動にかられるほど美味しそうな、信玄餅の黒糖蜜と同じ香りでした! 食品として購入したものではないので、舐めるのは踏みとどまりました。

4/8は夜に強めの雨が1時間ほど降ってしまい、寒天の耐性が気になるところです。流れ落ちず効果があることを期待。がんばれ寒天黒糖!


【記載:5/2】
きのうりんごの人工授粉を終えました。

先の予想とおり、今年も4/23~25に低温となり遅霜がやって来てしまいました。前日の4/21~22に、寒天黒糖をりんご、洋梨、桃に散布しましたが、りんごには、就農して4年目で一番大きな被害が生じました。4/21にりんごの中心花が開花した、その大事な時期にマイナス5度の低温と霜が降りました。

王林の花:低温でりんごの花びらが焼け、雄しべ雌しべがむき出し



ふじの花:5花のうち4花の雌しべ雄しべが壊死。



上記写真のように、花がひとつでも生きていれば良い方で、5花がすべて全滅したものも散見されます。

昨シーズンは怪我入院のため、思う作業ができなかったので今年こそはと思っていました。とくに、主力品種である ふじの被害が大きいことが痛手です。

被害を確認したのち、生きている花に人工授粉を行い確実に結実させることに作業を変更。5/2にその作業が終了しました。

例年であれば、結実まえに不要な花を落とす「摘花作業」を行っていますが
今年は念のため行いません。どのくらい結実できるか。ひと月後には結果が見えてくると思います。


【記載:5/7】
4/10~4/12にりんごの研修受講のため、青森県弘前市に出張してきました。岩手に移住してから初めて県外に出向きました。

青森の「りんご協会」という団体に就農当初から加入しています。
今回は、その団体がおこなう講習(人工授粉に使用する花粉の採取方法、接ぎ木を自分で作る方法、凍害対策、最新農薬情報)を受講してきました。

講習も実践的で充実していましたが、弘前は桜が満開の時期でもあり2泊3日の旅気分を味わえて、良いリフレッシュにもなりました。
講習を受講した団体が発行している「りんごニュース」を後ほど郵送します。お時間あるときにでも眺めて下さい。


前回の、晩生種のりんごレポートありがとうございます。
りんご果皮の果点になかのみさんが惹かれているとは!
思いもつかない視点。

王実、実は伐採予定の品種でした。
販売当初、味に渋さがあり万人受けしないと感じたのです。りんご販売時には、お客様が王実を選ぶと「やめた方が良いかも。まずは試食を食べてから考えて」と伝えていました。でも、なかのみさん始めりんご好きなお客さんからは、思いがけず良い感想を頂いて残した品種です。この頃は当初より渋さが抜けてきました。蜜が入らないため日持ちがするので、我が家ではGW頃まで食べています。

金星は、自分もヨーグルトとの相性が良い品種だと思います。金星の甘さが、酸味の良いアクセントになりますよね。金星は花粉が多く授粉樹として優秀らしいです。今年は花粉を採れませんでしたが、来年は花粉も収穫したい!

ぐんま名月は、自分が栽培をはじめてから収穫時期を約半月遅くしています。父の時は10月中旬に収穫していました。 10月の収穫だと、酸味がハッキリ残る美味しさで、遅くすると甘味が前に出ますね。収穫時期がどちらでも美味しいなんて、優秀な品種だと思います。もっと収穫量を増やしたい!

はるかは、栽培に苦戦しています。青果で小玉のまま成長が止まる個体があるため正品率が低いのです。思いあたる原因を一つずつ塗りつぶしている段階です。


りんごの品種シール、名前が印刷されているものは既製品で果樹商材を販売する業者さんから購入しています。名前がハンコ印字のものは、消しゴムハンコの手押し。自作です。
ウチで使用するハンコのほとんどは、消しゴムハンコ作家のnagomushi(@75mushi)さんに注文作成頂いたものがほとんどですが、必要な時はすぐ使いたいタイミングなので、りんごの品種名は苦し紛れの一時対応ですが、自作でしのいます。

この品種シール、悩みどころです。
いま使用しているものはデザインも良く品種名も判読しやすく気にいっていますが、お値段が馬鹿にならず使用を継続すべきか悩んでいます。値段を落として、お客様をシンミリさせるのは避けたいし。
生産者から見て、ココならと思える出費の抑えどころが。消費者さんから見ると、実は大事だったりもしますよね。
なかのみさんの遠慮ないご意見もお聞かせください。

シール変更案①


「どうなる2023シーズン」のタイトルで話し始めましたが、note掲載まえに大方の答えが出てしまい気持ちが落ち込んでいましたが、まだ今シーズンの作業は始まったばかりなんですよね。これも今後の経験にできるように、ここから頑張らないとと思います。

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