見出し画像

初ソロキャンは、犬と寝袋

キャンプ歴はかれこれ25年ほど。
コロナ禍になるまで、子どもを含めたグループで1年に2~3回キャンプをしていた。
娘も成長し、結婚、出産を経て母になり、わたしも犬との一人暮らしなった。

それを機に何十年ぶりかで「ひとり旅」を始めた。
子どもがいると、自分の時間なんてない。母親業は24時間営業だ。
久しぶりの「ひとり旅」は、自分の行きたいところに行き、食べたいものを食べ、計画なしで誰にも気兼ねのない時間は、楽しすぎた。

忘れてた。この感覚。ひとり遊びの自分だけの時間。
金よりもほしかった自由な時間。
出かけるために、あらゆる下準備をし、理由のない後ろめたさを感じていたこの数十年。
おかえりなさい私の時間。

結婚するまでのわたしは、そもそも行動的で思い立ったらすぐに何でもやり、どこでも行く性分だった。
いつの間にか、本当の自分はどこかに押し込めて、子どもを育てることに生きがいを感じる母親という役割を生きていた。
それはそれで、何物にも代えがたい経験だったし、そういう時間があったから、ひとりの自由に孤独を感じず楽しめているはずだ。

旅に出るときは、娘に家に来てもらい犬の世話をしてもらった。
犬は黒いラブラドールレトリバーだ。
前に飼っていた犬が虹の橋を渡って半年くらいたった頃に、ペットショップで娘が一目ぼれして家族になった仔だ。
娘は仕事を持っているが、住んでいるところはそう遠くなく、フリーランスなので時間の都合をつけやすい。

それから、コロナ禍の中孫が生まれ(出産時はコロナ禍で付き添えなかった)、大勢でキャンプにも行きにくくなり、娘にも犬を見てもらうのが難しい環境になった。

そこで、犬連れのソロキャンプなら、いつでも自分ひとりで予定を立ててキャンプに行けると思い立ち、初めてのソロキャンプに行った。

最初のソロキャンプは11月の埼玉県の長瀞のキャンプ場で寒かった。
わたしは冬キャンプが好きなのだ。

寒いときに、アウトドアで飲むコーヒーはおいしく感じる。
直火で沸かすとお湯も味が違って感じる。
夜空も空気が澄んでいてきれいだし、星もよく見える。

大勢でのキャンプは、たいがい春から秋なので、冬キャンプはめったにない。
初日の夕方から雨が降ってきた。
雨のキャンプも好きなのだが、犬が濡れたままテントに入ると大変だった。

ひとり用のテントを持って行ったので、濡れないようにテントの上に張ったタープがちょうど傘のようになっていい感じになった。

最初はテントの中で寝ていたが、雨の音がうるさいので結局愛犬と車で寝た。
寒かったのか愛犬が、狭い寝袋に頭から入ってきてキチキチになった。
でも、愛犬のおかげで温かかった。

この時はオートキャンプだったので、助かった。
天気はいまいちだったが、楽しかった。

雨音を聞きながら飲むコーヒー。
「違いがわかる大人の ♪ダバダーダバダーダー」と、ネッスルのCMのBGMを口ずさむと、愛犬が冷たい視線をくれた。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?