「テニスの王子様」を分析する(122):大きく描かれる

ハチマキを巻いた桃城が、大きな学校旗を振る。

許斐剛『テニスの王子様 14巻』集英社、2002年、P.148。

その姿は後ろからも、前からも描かれている。
正面の桃城はキリリとした表情ではあるが、よく見ると目の下にクマが書き込まれている。

前夜に応援のためのハチマキを自作するシーンがあり、その寝不足によるクマだとも読み取れるのだが、
この「応援に徹する」という態度に至るまでの葛藤も同時に感じられる。

レギュラーとして大会に出場したい気持ち、
しかしそれがかなわず、とはいえ受け入れるしかないという状況……。

眠れない夜であっても不思議ではない。
なにかに没頭したい気持ちであっても、不思議ではない。

ひとつの感情を乗り越えた桃城は、旗同様に大きく描かれる。


散文と批評『5.17.32.93.203.204』に、テニプリ論考を寄稿しました。
📚WEBショップにてお買い求めいただけます📚


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?