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エッセイ

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わたしの世界の見え方
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2018年9月の記事一覧

結局全部エゴなんだ

久しぶりに平日の昼過ぎという、人がたくさんいる時間帯に大学へ行った。授業に遅刻もしていなかったし、のんびりと駐輪場を抜けて校舎へと歩いていたら、ガッシャ―ンと音が聞こえたので、思わず振り返った。見ると、「自分の自転車を動かそうとした女学生が、周りの自転車を倒してしまった図」がそこに出来上がっていた。 わたしは踵を返して、彼女の方へ歩み寄り、倒れた自転車を一台起こした。 一瞬、「わたしが着くまでに自分でどうにかできちゃうかも」と躊躇しかけたが、それでも、誰かが手伝おうとして

忘れがたいある昧爽

気のおけない人たちとレンタカーに飛び乗って、留学前夜、旅は静かに始まった。 移り変わる見慣れた景色を、ただただ目に焼き付けた。 まるで走馬灯のようだった。今日を境に生まれ変わるのかと疑いたくなるほどに、私の軌跡を総復習しているようだった。 思い出の地をあちこち巡り、ようやく目的地へ走り出すと、夜が明けていった。見つけたコンビニで休憩をしながら、悲しいのか嬉しいのかわからない感情が飽和した中に私はいた。プールに潜っているみたいに、音がぼんやりとしか入ってこなかった。世界をぐん

わたしは地球の小さな細胞

明け方、飛行機から見下ろした初めてのドバイには、太いオレンジ色の線がすぅーっといくつか通っていた。マグマのようだわ、とわたしは思った。 朝焼けを見た。大好きなあの人を思い出して、彼のようにうまく写真を撮ろうとしてみたけれど、機内の明かりが窓に反射して、思うようにいかなかった。諦めてぼうっとしていると、そのうち朝焼けがだんだんぼやけていった。飛行機が雲の中に少しずつ入っているのかしら、と思った。 行先はまだ暗い。夜に向かって進んでいるものだから、いつまで経っても同じような段