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鹿肉を食べるということ。

私は、大学で鹿肉の利用を推進するサークルである「和鹿推進サークル み じ か」の代表を務めています。

この記事では、鹿を含む野生動物をめぐる現状を紹介した後、鹿肉を食べるとはどういうことなのかについて私の見解からお話しします。


鹿を含む野生動物をめぐる4つの現状

シカ、イノシシの個体数は、現在増えすぎているのが現状です。シカの個体数は25年間で約10倍、イノシシ は25年間で約3倍になりました。この個体数の増加により、様々な問題が起こっています。これらを、以下の4つに分類しました。

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①里山に関わること
 現在、日本の森林ではシカの数が増えすぎている。これにより、木の芽や下層植生が食べ尽くされ、多様性が失われている。また、木の芽が食べられる事により新しい木が育たず、今ある木が枯れてしまえば今の森林が裸地化する恐れがある。

②農業に関わること
 平成29年度の野生鳥獣による農作物被害額は158億円。うち、シカによる被害は最も多い54億円。山際に住む農地はほとんど電気柵で囲まれているにもかかわらず、収穫前夜に大切に育てた野菜が全て食べられてしまったという話も少なくない。

③都市に関わること
 私の大学のある兵庫県神戸市の六甲では、夜中にイノシシ の目撃情報が跡を断たない。キャンパス内も、イノシシがミミズなどを探して土を掘り起こした跡があり、いつイノシシに遭遇してもおかしくない状況。イノシシが人を怖がらなくなったのは生ゴミの放置や餌付けが一つの原因とされている。
 また、夜の道路でシカと自動車が衝突する事故も起きており、シカ密度の増加がこれらの事故の原因になっていると考えられる。

④利用にかかわること
 現在、猟師さんによりシカやイノシシの捕獲活動は行なわれているものの、これら捕獲された野生動物の90%は廃棄されている。食肉やペットフードとして流通しているのは全体の10%以下である。これは、現在の狩猟の仕組みが原因の一つとなっている。

④の現在の仕組みとは、捕獲したシカ1頭につき約1万円が国から猟師へ補助されるというものです。(金額は地域によって異なる。)これにより、猟師には捕獲した段階で補助金が給付されるため、シカを食肉やペットフードとして利用するメリットがありません。

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現状改善の指針


この体制が続けば、国はシカの頭数を維持するために猟師さんに対して半永久的に補助金を出し続けなければなりません。このままでは国の予算を圧迫し、持続可能な野生動物の頭数管理は難しくなっていきます。

よって、シカの頭数を減らすことを目標とするのではなく、鹿肉を食材資源として有効活用し、補助金に頼らない野生動物の頭数管理の仕組みを作ることが必要であると考えました。

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しかし、この新しい頭数仕組みには課題点があります。まず、猟師の高齢化、それに伴う猟師数の減少です。

また、法に基づいた食肉処理を行う解体場が少ないことも問題として挙げられます。野生動物を食肉として販売するためには、野生動物を屠殺してから1時間以内に搬入しなければなりません。解体場が少なければ、この条件を満たすことができるのは解体場から近い猟場のみということになってしまいます。

そして何より、鹿肉に対する偏見があり、需要が少ないことが最大の課題です。食肉として鹿肉を生産しても、食べる人がいなければ成り立たないからです。

鹿肉は個体数を管理しながら捕獲することで持続可能な畜産物になり得ます。抗生物質フリーの純国産畜産物は、ジビエ以外はありません。


鹿肉を食べるということ

以上のことから、鹿肉を食べることがどんなことに繋がるのかを4つにまとめました。

鹿肉を食べるということ。
それは捕獲された鹿の有効利用に貢献したということ。

鹿肉を食べるということ。
それは猟師さんが野生動物の密度管理を行うことに投資したということ。それにより、荒廃した日本の里山を再生させる一歩に貢献したということ。同時に、農業の被害減少に貢献したということ。

鹿肉を食べること。
それは野生動物の諸問題について知るきっかけになるということ。野生動物が人間の居住地に入ってくる原因を知ることで、対策が可能になります。

鹿肉を食べること。
それは純国産の持続可能な畜産物を食べること。


結局は、美味しさ

といっても、結局は美味しさが命。なんてったって食べ物ですから。

鹿肉の美味しさは言葉では表現し難いので、写真を見てください。

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鹿カレー

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鹿カツ

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ローストディアー


鹿肉食べてみませんか?