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猫撫さん


猫撫さん。

それは初めてお会いしたとき。ラブホテルに入って、お土産に赤福をもらったとき。「あんこは好きですか?」と質問された。本当に好きなので「大好きです。」と答えると、彼女は「良かったぁ〜!!!」と言った。それを見て、彼女は本当に心から良かったと思ったのだと確信した。

老若男女、100人がその「良かったぁ〜!!!」見たとして、100人が「彼女は心から良かったと思っただろう。」と答える。そんな表情と声だった。
ほんとうに綺麗な人だと思った。

赤福を受けとったわたしは「赤福。一緒に食べてから写真を撮りましょうか!」と言いながら、包装紙を両手でいっきに、ビリビリ破いた。それを見た猫撫さんは「わぁ、めっちゃ良い。本能って感じ。」と笑ってくれた。笑い方も大袈裟でなかった。わたしが聞くのに、ちょうど、必要なだけの心地いい音だった。

彼女を好きになるのには、ここまでで充分すぎたと思う。


あとはなんとなく、こんな話をしたかなという記憶。

「どうしてヌードを撮られ始めたんですか?」
「自分の身体があまり好きではなかったからです。以前は色々な男性に抱かれること、性的に欲求されることで承認欲求を満たしていたように思います。」

ああ、分かる。同じ気持ちになったことがある。どんな形でも、大事にされている訳ではないと分かっていても、性的な部分で求められると私にも少しは価値があるのだと感じられる。ヌードで写真に写る人は、自分の体が好きな人ももちろんいるけれど、「客観的に写った自分を見たい」「それを見て、自分自身がどう感じるか知りたい」という人が多いと思う。


『今はご自身の身体、嫌いではないですよね?』
「そうですね。」

そんな感じがした。「自信に満ち溢れた」とはまた違うけれど、自分の心や、体の形を、自分の中でそのままに認識しているような雰囲気があった。フルヌードで撮影させていただいたが、「恥じらいがない」とか「一線思い切って踏み越えた」とか、そんな感じではなくて、「これがわたしの形ですよ。」とただ存在しているような。そこが素敵だなと思った。

猫撫さんがあまりにも堂々としているので、その真っ直ぐさに、初めの方、わたしは少し照れてしまっていた。バレてなかったらいいな。

撮影は本当に楽しいものだった。わたしは終始ニコニコしていた。それも全部、彼女のおかげ。知的で、素直で、優しい。こんな風な、簡単な言葉にしか表せない言語能力の低さに悲しみさえ覚えるけれど。だからこそ、わたしは全力で、写真で伝わりますように、、と祈りながら、泣きそうにもなりながら、撮影しました。


これがわたしの中の初めての猫撫さん。
心からお会いできてよかったと思っています。
大好きです。らぶ。






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