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コロッセオ、そして素数

「東京から俺の友達が来る。超いい奴だから一緒に飲もう。」
職場の先輩に誘われて向かった先は心斎橋にある老舗イタリアン。
先輩曰く、イタリア料理がナポリタンくらいしかなかった頃に
本物のイタリアンが食べたいイタリア人が作ったお店とのこと。

御堂筋線の心斎橋駅を降りて5-10分歩くとお店に着いた。
イタリア国旗と白いライオン像を目印に地下へ降りると入口がある。
店内は広々とし、所々にイタリアを感じさせる仮面や絵が飾ってあった。

着席するとハイテンションなイタリア人おじさんが接客してくれた。
流暢な日本語で何かと絡んでくる彼は
「グラスワイン2つ?もったいな~い!ボトルがいいね~!」
「あの仮面はVeneziaの!本物ね!高いよ~」
と、料理を運ぶごとに我々のテーブルを盛り上あげてくれた。

スパークリングワインで乾杯し、
きれいに盛り付けられた前菜を食べながら先輩が言った。
「ここ、めちゃくちゃいい店だな。」
先輩が予約してくれたランチコースは
前菜、パスタorリゾット、魚、肉、デザート、コーヒーで構成されていた。
料理はどれも落ち着いたおいしさがあり、
ソムリエの方が選んでくれてるワインと合う。
店の雰囲気も相まって、本格的なイタリア料理を肩肘張らずに楽しめた。


料理やお酒が美味しいと、会話も盛り上がる。
先輩に会うためだけに、わざわざ東京から来た
「超いい奴」のご友人とは初対面だったが、
前情報はあらかじめ仕込まれていた。
Hydeが好き、中華鍋も好き、B型、末っ子など…
誕生日は知らなかったので、当日聞いてみた。
「7月2日。一年のちょうど真ん中。」
一瞬どういうことか分からなかったが、
365日のうち1月1日から数えて真ん中らしい。
独特な観点である。
誕生日を迎える度に、今年も半分すぎたか~と思うのだろうか。
とはいえ、そう聞くと自分が何日目か気になる。

先輩は72日目で、
「ゴルフはパー72なんだよ。今度から自己紹介そう言おう。」
と、嬉しそうにしていた。
誰が分かるんやそれ、と思ったが
先輩はゴルフ部出身なので仲間にはウケるのだろう。

私は229日目だった。
正直、何の数字かピンとこなかったが
素数かもしれない、と先輩とご友人が言い出した。

「私の誕生日、1月1日から数えて229日目!素数です!」

想像してみたけど全然盛り上がらない。
同じ誕生日はタモリ、菅野美穂、北川景子(敬称略)など
錚々たる顔ぶれなので、229を使う機会はないと判断した。


コースをデザートまで平らげ、
「グラッツェ!!!」と何度も言われながら店を後にし、
私は所要があったため、そこで帰った。
夜になり、先輩から画像が送られてきた。

229はとてつもない可能性を持つ数字だった。
昔読んだ「博士の愛した数式」で、
教授が語る数字の魅力にうっとりした自分を思い出した。
数学ってロマンがあるのだ。
いつから私の心は荒み、効率やウケを追い求めるようになったのだろう。
もう一度、自己紹介する自分を想像する。

「私の誕生日、1月1日から数えて229日目!素数です!」

・・・やはり、今まで通りの自己紹介にしとこう。


◆今回行ったお店◆ 大阪 心斎橋 COLOSSEO
古代ローマの象徴的な建造物、コロッセオ。
その建築や、剣闘士登場の舞台装置に用いられたエレベーターは、
大天才数学者アルキメデスが発明した技術らしい。
数学は、ロマンと実用性を兼ね備えていた。

創業者のドメニコ・カンタトーレは、
弁護士資格、博士号を持ちながら
日本で輸入業を取り扱っているエリートとのこと。
インタビューに書いてあった言葉がかっこよかったので記録しておく。

今日死んでもいいように現在を生きて、
自分は永遠に死なないとおもって未来を考える。
それが私の生き方です。

WINE WHAT
在日イタリアンが通う大阪おいしいイタリアン  コロッセオ
https://www.wine-what.jp/wine/40526/




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