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チョコ?あれはほろ苦い食べ物だよ

初めてのバレンタインは幼稚園か小1の頃
お気に入りの男の子がいた娘に興奮した母が
張り切ってチョコをこしらえてくれて手渡すと、
これまた息子のもらったチョコに興奮した相手の母が
小さなかわいい飴をこしらえてくれた。
透明な包み紙に入った黄色やピンク、黄緑の飴が
宝石みたいに見えたことを覚えている。



小学生高学年になると友チョコ全盛期だった。
友達の家に集まり市販の板チョコを湯煎で溶かし
生クリームを混ぜた生チョコを量産していた。
初めてニキビができたのも、その頃だ。



中学生のバレンタインは痛い思い出だ。
とにかく奇をてらいたい願望が強く、
そして男子にいたずらしたい気持ちもあり、
クッキーの中にからしやワサビを混ぜてみた。
テレビ番組の罰ゲームのごとく
「なんだこれ!」と盛り上がるかと思いきや
男子たちは黙って複雑そうな顔をしながら
無理して全部食べてくれた。
思いのほかみんな随分と優しいこと、
まずいものを人様に食べさせてはいけないこと、
テレビの真似を素人がすると変な空気になることを学んだ。



高校生となった私は、中学での学びを生かし
美味しいお菓子を作ることに心血を注いだ。
毎年ガトーショコラを8ホールほど焼いてた姿に
家族はきっと引いていただろう。



大学では彼氏がいたが、チョコは嫌いだと言われた。
その割に手作りお菓子をやたら所望する彼に
何をあげようかと悩んだ。
高校3年間かけて腕を磨いたガトーショコラも
チョコ嫌いの前には無力に等しい。
そこでむくむくと存在感を出してきたのが、
中学生時代の奇をてらいたい私だ。
土鍋で巨大プリンを作ろうと思いついたのだ。
わざわざ1~2人前用の土鍋を買い、
ぶっつけ本番でプリンを作った。

これがまた無惨なほどの失敗作だった。
火加減が悪かったのか、分量を間違えたのか、
まわりは焦げているのに内側は液体。
蒸す時間がいるだろうと蓋をして
しばらく置いたのがさらに悪かった。
焦げたにおいが土鍋に充満した結果、
完成品は燻製仕立てのプリン味スープだった。

気を使った当時の彼氏が
大きめのスプーンでプリン味スープを
「ズズッ」って音を立ててすする姿を見て
ちょっと泣いた。


就職してからは、4年目くらいの頃に
たまたま車で家に送ってくれた酒好きの同僚へ
お礼にボンボンをあげたら付き合うことになった。


4か月でふられた。



こう振り返ってみると、バレンタインとは
なかなか甘くないものだなあ。

ちなみに今年はというと、
デパートで買った5000円分のチョコを
現在一人で食べ比べ中。



#わたしのバレンタイン

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