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ナチュラル芝居について@RinDaの台本0520


どうも、RinDaです。

普段はTwitterにて、声優志望者の技術向上のための情報を発信している者です。

今回は、「RinDaの台本0520」の総括と共に、テーマとなっていたナチュラル芝居について、解説をしていこうと思います。

「これがナチュラル芝居だ」という明確な区分は世の中には存在しません。

強いて言うなら、聞き手が「ナチュラル芝居だ」と思えばそれがナチュラル芝居とも言えます。

今回では、私なりの基準を提示して、皆さんの引き出しを増やしていければいいと思います。

ナチュラル芝居とは

ナチュラル芝居とは、声の芝居において限りなく自然に近い芝居の仕方のことです。

よく「アニメはオーバーに演じなきゃ映像の力に負けてしまう」という話がありますが、この考え方をある意味で否定する形になります。

そもそもアニメをオーバーに演じるのは、アニメや漫画が、ストーリー的にも映像的にも、現実をデフォルメして表現されたものだからです。

そのため、感情や動きも過剰にする演出が用いられ、演じる側にもそれが要求されていました。

しかし、昨今ではアニメの映像技術の進化や、アニメ文化の隆盛に伴うジャンルの多様化により、オーバーなデフォルメ演技では作品性にそぐわないアニメ作品が増えてきました。

そうして、流行り始めたのが「ナチュラル芝居」です。

そもそもお芝居は「自然」であるべきですが、なぜ「ナチュラル芝居」というネーミングなのかというと、「主流であったデフォルメ演技に対して、自然なお芝居」という意味合いです。

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よって「ナチュラル芝居」とは、「リアルな芝居をアニメに適応させたデフォルメ芝居を、リアルに戻した芝居」といった感じになります。

RinDaの台本0520の総括

全体的に「ナチュラル芝居」というものを掴んでいる方は少ない印象でした。

説明も少なかったので無理はないと思いますが、テーマや設定を読んで、「ナチュラル芝居」についてもっと考えられたのでは?とも思っています。

今回の読解のポイントは
①ジャンル設定が「ミステリー」であること
②「自称・ごく平凡な高校生」について
③キャラクターの役割分担        の三点です。

①シーンの役割を考える
 まず、設定に「ジャンルは奇譚・怪談のようなミステリーを想定」としていますので、ここから課題のシーンが作品においてどんな役割を持っているのか想像しましょう。
 ミステリーということは事件が起きて、それを解決するのが本筋ですが、このシーンにそのような素振りは見受けられないですよね。
 となるとこのシーンは「事件の導入」もしくは「事件の顛末」である可能性が高いです。
 前者の場合は登場人物説明になるので、あおいの説明か山ちゃんの説明になります。後者の場合は、事件に巻き込まれた山ちゃんをあおい、もしくはあおいとは別の主人公が解決して”めでたしめでたし”ということになります。

参加者の多くはここは絞り込めておらず、よくわからない恋バナのシーンになっていて、作品の雰囲気が感じれらなかったです。
 演じる上で「なぜこのシーンが存在しているのか」、またオーディションなら「なぜこのシーンが選ばれたのか」を考えてみることも重要ですね。

②平凡とはなんなのか?
 参加者の多くの方が最も意識されていたのが「ごく平凡」というあおいの設定でした。「ごく平凡な高校生」というワードとセリフを見て、恋バナにテンションの上がっている高校生の日常を連想した方がいらっしゃるかもしれませんが、そう考えるのは、早計です。

 なぜなら、「平凡」という価値観は人それぞれだからです。

 ここで大事なのは「ごく平凡」というワードではなく、「自称」というワード。

 この「ごく平凡な高校生」というのは、作者や周りの人間からの客観的な評価ではなく、あおい自身の主観的な評価なのです。

 なので、皆さんの考える「ごく平凡」が、そのままこのキャラクターに通じるとは限らないのです。

 私のイメージとしては「ほら、俺(私)はごく平凡な高校生だから、そういう派手なこと興味ないんだよね~」と言い訳に使ってるイメージで、周りに流されない大人びた雰囲気を持つキャラクターした。
 ナチュラル芝居をするのであれば、キャピキャピチャラチャラしたキャラクターより、こっちの方が楽だと考えていたのですが、どうも難しく作ってしまいがちで、反省しなければと思っています(笑)

③役割分担から人物像を考える
 ミステリーの基本的な役割分担として、「探偵」「助手」「被害者」「加害者(黒幕)」が考えられます。その役割分担の中で、あおいがどのイスに座るのかを考えれば、人物像は絞れてきますよね。

 私としては「探偵(主人公)」のつもりだったので、勘の鋭い様子が伺える台本にしました。

 「助手」の場合だと、人情的な面が前に出るので、恋バナを楽しく繰り広げられる共感能力の高い人物像にすることが出来ます。「助手」というポジションを想定できれば、皆さんの多くの方が演じたプランでも成立させることは十分可能です。

またこれは、あおいだけではなく山ちゃんの人物像を決める際にも使えます。

あおいが「探偵」で、山ちゃんが「助手」もしくは「被害者」の立ち位置なら、あおいの推理力をアピールできるいいチャンスになりますね。

あおいが「助手」で、山ちゃんが「探偵」であれば、あおいはかなりガツガツ話に食いついて、共感能力をアピールすることになります。ただ、頭の良さではなく勘の良さであることをアピールする必要の出てくると思います。

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これが「探偵」と「加害者」のやり取りだと、言葉の裏での闘争が生じるので、恋バナみたいな雰囲気にはならないかもしれませんね。

といった感じで、役割の組み合わせ次第でいろんなことが見えてくるので、是非そういった点も意識してプランを作ってみて下さい。

ナチュラル芝居のコツ

ナチュラル芝居は、キャラクターをより血の通った人間(生き物)だと聞き手に思わせるための手法です。

そのために鍵となるものは「自然な感情」です。

 自然な感情とは「怒りだから声を張る」「悲しいから声をひくつかせる」「楽しいから笑う」「喜ばしいから雄たけびを上げる」というような、典型的な感情表現より詳細なものです。

 より正確に言うのであれば、「役者自身の【生】の感情を使う」ということ。

 自分をキャラクターとおんなじシチュエーションに立っている時に指定されたセリフをどういうのか、もしくは、セリフを指定された感情で読む時にシチュエーションについてどう感じるのか。

 それを考えることで、自分の感情に出会うことが出来ます。

 例えば、「中学三年の冬、高校受験の合格発表」というシチュエーションで「やったー!」というセリフを言うとする。

 その時の感情は当然「喜び」だと思うが、元気よく大きな声で「やったー!」というだけでは、それはただ読んでると言っても過言ではない。もちろん、涙交じりに「やったー!」と叫んでもそれは同じこと。
 
 だが、このセリフに「志望校に合格した」以外の情報はない。
 そんなときに自分を当てはめてみる。

 これが「セリフの間を埋める」という行為です。

 多くの人がこれを「想像」で行うと思っているが、「経験」で行った方が鮮度が高い。なぜなら、それが自然だからです。

 その経験を詳細に表現できれば、その演技はよりナチュラルになるし、デフォルメにアレンジしても、その演技の本筋を外してしまうことのない安定した演技をすることが出来ます。

安定感は声優を職業にする上で、とても重宝されるものなので、しっかりナチュラル芝居を身に付けていきたいですね。

では、今回はこの辺りで。

また次回の台本でお会いしましょう。


RinDa

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