マガジンのカバー画像

余白の匂い

18
香りを「聞く」と言い慣わす”香道”の世界に迷い込んで十余年。 日々漂う匂いの体験と思いの切れ端を綴る「はなで聞くはなし」
運営しているクリエイター

#okopeople

「泥の香」 ~ 蟲たちの春

週末に買った鉢の植替えをしていたら、部屋がヒヤシンスの花と土の匂いで春一杯になった。 年…

Ochi-kochi
3年前
9

「ホタルノヒカリ」~ 想いに添えて

シソにも実りの季節があったとは。 大葉の鉢が急に枝を伸ばすのに驚いていたら、可愛いらしい…

Ochi-kochi
3年前
6

「金木犀」 ~ 思い出でもないくせに

嗅覚にも得手不得手があるのだろう。 私はもしかすると“花”系の香りを感じにくいのかもしれ…

Ochi-kochi
3年前
9

「永遠へ」 〜 明治神宮、命の森の匂い ~

猛暑に焼けつく8月の週末、久しぶりに明治神宮の森を散策した。庭好きの友人との都内”探庭活…

Ochi-kochi
3年前
4

「梅仕事」 ~ 梅雨のおくりもの ~

雨の匂いが近づき店頭に青梅が並んだ週末、今年も「梅シロップ」の仕込みをした。 真夏の外出…

Ochi-kochi
3年前
5

「路面」~ 闘場(アレーナ)の香気 ~

余白の匂い 香りを「聞く」と言い慣わす世界に迷い込んで十余年。日々漂う匂いの体験と思いの…

Ochi-kochi
4年前
18

「水際」 ~ 塩素と陽射しとちょっとハナミズ ~

余白の匂い 香りを「聞く」と言い慣わす世界に迷い込んで十余年。日々漂う匂いの体験と思いの切れ端を綴る「はなで聞くはなし」 土曜の朝のクリニックはすっきりと空いていて、窓の下の見慣れたアーケードも整然と開店の時間を待っている。待合室の棚から手に取ったコミックでは、高校生の帰宅部コンビが川沿いの階段に腰かけてとりとめのない会話で時間を潰している。やんちゃそうな方のモーレツな関西弁がページから溢れ出す。 「…ああそう子供の頃な…夏祭りもクリスマスも昔あんなに楽しかったのに、年々