ダンボが羽を手放しても
薬学科を卒業し、キャリア官僚となり、その過程に大きな波はなかった。
ダンボが羽がなくても飛べるんだと気づいた時のように、今は羽をなくしてもこうして働き続けている。
本当はやめようかと思ったこともある。
私の夢は、心理カウンセラーだった。
ただ、もう一度臨床心理学の課程に進むつもりはない。
次は何か。
自分に正直になって考える。
私の答えは文章を書くことだった。
言葉を紡ぐことで、何かを変えたい。
その文章とは何か。
辛い失恋の時の気持ちや浮気された辛さや苦い経験をひたすらに書き込んだこともある。
それは、自分もそういう文章に救われたことがあったから。
でもそうじゃなくて、もっと、日常の小さな幸せに寄り添った文章が書きたい。
それは、着飾った文ではなく、私が今まで感じたことでいい。
それを素直な気持ちでこの世に残したい。
役に立つのか分からないような、人の目に触れることのないような文章なのかもしれない。
それはそれでいい。
形として残したいのだ。
世界がどれだけ変わっても、何一つ変わらない普遍的なもの、灯台下暗しとでも言えるような普段気づかないものにも、価値を見出したい。
私が私でありたい。
それが夢だ。
そこに辿り着くのに、もう止まっている時間はない。
苦手科目の恋愛、再レポートを抱えたまま大学の門をくぐり抜け、傍らに置いたまま夢を見つめる。
猫とともに。
【追記】
入院した時に読むお話集を作るんだった。
一部手書きをしたいが、途中からは流石にワープロ入力だな。
今年中に絵本を一冊描くタスクでさえまだこなせていない。
やることが山積みという嬉しさ。