視察報告 東京都渋谷区 一般社団法人「渋谷未来デザイン」渋谷区のダイバーシティ・インクルージョンのまちづくりについて 尼崎市議会議員 池田りな
こんにちは。尼崎市議会議員 池田りなです。視察の報告をいたします。
テーマ: 渋谷区のダイバーシティ・インクルージョンのまちづくりについて
日程:2024年4月23日(火) 13時~15時
場所:東京都渋谷区 一般社団法人「渋谷未来デザイン」
【概要】
渋谷未来デザインは、東京都渋谷区を拠点とし、ダイバーシティとインクルージョンを基本に、渋谷に住む人、働く人、学ぶ人、訪れる人など、渋谷に集う多様な人々のアイデアや才能を、領域を越えて収集し、オープンイノベーションにより社会的課題の解決策と可能性をデザインする本格的な産官学民連携組織です。オープンイノベーションとは、自社内だけでなく業種を問わず外部の人材と連携することで、社内にない考え方・知見を取り入れることを指します。
勉強会では、一般社団法人未来デザインの理事兼事務局長、長田新子氏より、渋谷未来デザインの取組事例などについてご講演いただきました。市民・企業・行政が連携し、渋谷区の課題を解決しているお話をお聞きしました。勉強会で特筆すべきことと、尼崎市に活かしたいことを3点挙げます。
1点目、地区単位と各テーマに関心がある人々を単位とするまちづくりを進めていくことです。地区単位のまちづくりでは、小学校避難所お泊り体験など、地元密着型の防災イベントなどを開催されています。町会(自治会)は全国どこでも加入者が減少しているという課題があります。尼崎市の町会加入率は、令和2年度で47.5%です。
テーマごとのまちづくりの一例として、渋谷区未来デザインが取り組む、女性が心身ともに健やかに自分らしく生きられる社会の実現を目指す「Women’s Wellness Action from Shibuya」という事業が紹介されました。
同事業は、女性の心身の健康課題を解決し、啓発することを狙いとしており、このテーマに関心のある渋谷区民や渋谷に関わる人々が関わっているとのことです。女性の健康課題がテーマであるため、区としても区民の心身の健康を守ることは重要な役割ですし、生理痛・更年期障害・産前産後の心身の変化などに関わる年齢層も幅広いため、良いテーマであると感じました。今までまちづくりに関わってこなかった新しい人を巻き込むことが可能です。
尼崎市でも、協働推進課が管轄する市民提案制度があります。市民提案制度では、行政と民間が協働で市の課題を解決できる事業を実施しています。市民提案制度の認知度を向上させ、官民連携の事業をつくり、その事業を通じてまちづくりに関わる人を増やせると考えています。
2点目、新しい発想や視点で社会をより良い方向に導くアイデアやクリエイティブアクションを表彰するプロジェクト「NOVOUS FUTURE DESIGN AWARD」を行っていることです。
事例として、2022年に優秀賞に選ばれた「未来創造部」、似た夢を持つクリエイティブな中高生が世界から集まり、アイデアを出して形にする場所で、学生と社会が手を組み未来を創る「部活型」オンラインコミュニティについても紹介がありました。この事業に関わっている方が、アワードに選ばれる学生は「探求学習」を受けて育った子が多いとおっしゃっていました。探求学習は、知識を教え込む一方通行型の授業ではなく、自ら問を立ててそれに対して答えていく学習です。
渋谷区では、2024年度より全国初となる小学校からの「探求」の授業が始まっています。これは、世界で活躍する自立した学習者を育むシブヤモデル「未来の学校」を目指して、文部科学省の「授業時数特例校制度」を活用し、区内の全区立小中学校で総合的な学習の時間「シブヤ未来科」を中心とした「探究学習」に取り組んでいるそうです。
一方、尼崎市ではオルターナティブスクールのぐるりミライスクールさんが、「探求」の時間を設けています。私がスクール見学に行った際には、子どもたちがテーマを決めて、興味のあることに没頭していました。
ただし、尼崎市の公立小中学校においては、全ての子どもたちが探求の時間を持つことが理想ですが、教員不足が叫ばれる中、現時点での実現は難しいと考えられます。国の動向にも引き続き注目していく必要があります。
さらに、3点目として、2020年に立ち上げられた国内初の自治体公認の都市連動型メタバース(仮想空間)「バーチャル渋谷」が挙げられます。このプロジェクトは、コロナ禍で来訪者が途絶える中、渋谷の魅力を広く知ってもらうため、ハロウィーンフェスなどの大規模なバーチャルイベントを開催し、また、感染対策で活躍の場を失ったアーティストのためにバーチャルライブハウスを設ける試みも行っています。
メタバースは、インターネット上に構成される3次元の世界で、私たちは自分の分身であるアバターを通じてその世界に入ります。この空間では、性別や見た目にとらわれずに自分自身の分身となることができ、さまざまなコミュニケーション手段が利用できるため、不登校児童・生徒の居場所と学びの提供としても活用され始めています。
尼崎市においても、不登校児童・生徒の子どもたちに市が公式に案内できるメタバース空間やそれを活用した支援プログラムを提供できないか、引き続き市に提案する予定です。
▶渋谷の教育No132 p6 https://files.city.shibuya.tokyo.jp/assets/12995aba8b194961be709ba879857f70/e73d03229d9840fdb125fca3fe71d7fd/114_shibuyanokyoiku132.pdf
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?