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化粧水ごはん

世の中に美味しいものって本当にたくさんある。でも、まれに口に入れた瞬間、体にすーっと染み込んでいくような食べ物に出会うことがある。美味しいを通り越して、体に馴染む。言葉で表現するのが難しいんだけど、体がそれを欲していたような、そんな感じ。

「なんか、化粧水みたいじゃない?肌につけた瞬間、浸透してく感覚」

食の好みの会う友人とそう共感して、体に染み込むご飯を”化粧水ごはん”って呼んでいる。東京を中心に、化粧水ごはんに出会うと感動して、友人に共有。その後も何度も買いに行っては感動してしまう。

この前手に取った本に、私たちの中で化粧水ごはん認定しているお店の1つが特集されていた。その本に書かれていた言葉が印象的だったので記事を書いてみようと思った。


ルヴァン

化粧水ごはんの1つ、『ルヴァン』。東京の代々木八幡と、信州上田に店舗があって、ハード系のパンが特徴的。素材が本当にシンプルで、無駄なものがない。

化粧水ごはんを、本中ではこのように表現している。

彼らが焼いたパンには、他では得られない満足感がある。口にすると、自分がなにかによって満たされた気持ちになる。
彼らのつくるパンはとても人間的で、「本質的なもの」が、みっしりと詰まっている気がしてならない。「ほらこれです」と取り出して見せることはできないのだが、あのパンには、いったい何が入っているのだろう。

自分の仕事をつくる p.168

ルヴァンで売られているのは、パンの形をした別の何かだ。それが何かは迂闊には言葉にしたくないが、お腹だけでなく、心も満たされる実感がある。そんな食べ物は、街には滅多にない。

自分の仕事をつくる p.176

そうそう…!本を読みながら、めちゃくちゃ共感していた。

私たちの言語化が乏しくて”化粧水ごはん”としか表現できなかったけど、同じようになんとも言葉にできないもどかしさを文章で伝えてくれている。金額が高いか、安いかとかは関係ない。いくら高額なご飯でも化粧水じゃないものがほとんどだし、高い安いに限らず化粧水に出会える方がまれである。

本『自分の仕事をつくる』では、働き方にフォーカスして取り上げられているのだけれど、仕事に対する姿勢や愛って作品に反映されるんだと感じた。

化粧水ご飯のほとんどが、派手さは一切ない。むしろシンプル、無駄が削ぎ落とされ、でも質素すぎない絶妙さが素晴らしい。自分の仕事も、提供するものに、他とは違う絶妙さを乗せて表現したいと思った。




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