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モナコ1 高台で「レントより遅く」(コンチキツアー1-16)

ずっと参加したかった、英語を使った国際ツアー「コンチキツアー」での思い出です。
旅にまつわる音楽を聞きながら、記事をお楽しみ下さい♪

何かが始まる前の、ワクワク感

<訪問国17 モナコ>

世界で2番目に小さい国、モナコ。
でも、その存在感は世界で1番小さいヴァチカン市国と張り合えるほどのものがある。

コンチキツアーのメンバーと私も、このモナコ入国を楽しみにしていた。
イタリアから南フランスに入り、その勢いでこのモナコへ。
チェックインしたニースのホテルで、全員、モナコ王室に嫁いだハリウッド女優・グレース・ケリーやモナコロイヤルファミリーのごとくドレスアップして、バスはいつもよりもゴージャスな雰囲気と誇り高い香りに満ちていた。

これから、何かが始まるんだという、ワクワク感。
しかも、その場所は、モナコ。
落ち着いていられるだろうか。

「みんな、モナコに入ったよ!」
こちらもドレスアップしたツアーガイド、ルーカスが嬉しそうにアナウンスしてくれた。
カジノで大勝した富豪のような、光沢のある黒いシャツにブラックジーンズを合わせたドレスアップ姿は、遠くから見てもよく目立つ。

「まず“ロシェ“と呼ばれる、高台にある旧市街から、見て行こう。ここからの景色は圧巻だよ」
浮き立った気持ちで、キラキラと輝く小さなカバンを持ちバスを下車すると、いきなり夕陽に照らされたモナコの美しい町が私達を迎えてくれた。

歴史深い国の、豊かな絶景

「なんて、贅沢で美しい景色……!」
「セレブがこぞって、この国に住みたがるだけあるね」

日本でも、芦屋の海辺や熱海がモナコ「風」だと言われているものの、この煌めきは所詮、日本で一生懸命真似できるレベルではない。
その倦怠感のある空気、ゆったりとした時の流れ、何もかもが日本とは根本的に違うことを感じた。

高級ヨット群が夕陽に輝き、気持ちよさそうに揺れている。
ヨットは日本の海でもたくさん見て来たが、こんなに気持ち良さそうに揺れているヨット群は初めて見た。
ラスベガスのようにギラギラしている訳でもなく、それはフランスやイタリアという長い歴史を持つ国々から近い、モナコという国だからこそ出来た煌めきだった。

こんな所では、誰もがロイヤルファミリーのような気分になれるだろう。
そして、ゆったりとしたスローワルツが踊りたくなる。
ただ、純粋に美しいだけの曲ではこのモナコに物足りなかったのか、脳裏には、ドビュッシーの「レントより遅く(遅いテンポより遅く=とっても遅く)」がゆったりと流れ出した。

グレース・ケリーゆかりの地

ロシェを散歩していると、海洋博物館や大公宮殿、そしてモナコ大聖堂が目に入る。
「ここで結婚したいと思っている?Rina、目がウットリしてるよ」
「そんなにいい表情してた?なんか、このモナコのゆったりした雰囲気に入り込んでたの」
「そら、入り込んじゃうよなぁ。ここ、グレース・ケリーが結婚した場所だもん」
「え、ここだったんだ!」

半世紀前、この大聖堂は全世界で有名な、あの結婚式の舞台だった。ハリウッド女優、グレース・ケリーの結婚式は、全く当時を知らない私達にまで有名な話だった。

「こんな所で結婚して、スローワルツを踊ってみたいよ」
「やっぱりスローワルツ、似合うよね!ちょうど、いいBGMがあるの」
実際ドビュッシーはフランスの作曲家で、この曲もモナコは関係していない。

でも、夕陽に照らされながらこの高台のロシェをゆったり散策していると、ひたすら私の脳裏では「レントより遅く」が、優しく鳴り響いていたのだった。

ロシェは「夕方×レントより遅く」

モナコがあまりにも気に入り、数年後に再訪した。
やはり夏の日、「レントより遅く」を脳裏に流しながら散策できることを楽しみにしていたが……。
訪ねた時間が明るい午後だったからか、そのメロディーは全く一音たりとも、流れて来ることはなかった。
無音でのロシェ散策も陽気で楽しかったが、夕陽に照らされながらの散策とは比べものにならなかった。

グラン・カジノなどはあまり時間に左右されないと思うが、ここ、高台の旧市街・ロシェから絶景を見て、町をゆったりと散策するのには、絶対に夕方をお勧めしたい。

#モナコ #グレースケリー #大聖堂 #サンセット #コンチキツアー

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