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森逸崎さん家。

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7人兄弟(女女女男女女女)や家族の日常と人間模様に関してのエッセイ。一番上は40歳、一番下は26歳、私は6番目
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2022年6月の記事一覧

無言の帷子《かたびら》

この時期になると思い出すことのひとつに、8歳の頃の兄がいる。 絶望 「いやだ!きものきせてくれるって、いったじゃん!」 私が4歳の時の話だ。 近所でやっていた夏祭りにどうしても浴衣を着て行きたくて、私は母の前で泣き喚いていた。 着物と浴衣の区別もついていない、ただ姉たちが楽しそうに着飾る姿を見て「私も」とせがんでいた年齢である。 もともと母が「海にも着せてあげるからね」と約束してくれていたのだけど、二つ上の姉の着付けを終えたタイミングで祖母から連絡が入り、急遽母だけ出か

最果てにて

かつて祖母から「風来坊」と呼ばれたその叔父は、火野正平を彷彿とさせる風貌そのままに、まるで少しずつ山に取り込まれていく仙人のようだった。 全て山の中木曽の王滝村というところで叔父が民宿をやっているというので、両親と妹と私の4人で泊まらせてもらった時の話である。 「自分が住んでいるところが御嶽山の麓だと思っていたけど、よく調べたら一合目よりも高い場所だったんですよね。王滝村って、山の下じゃなくて、山の中にあるんです」 車を運転しながら、叔父がそう案内する。身内であり歳下の私