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ツレは27歳年上で。

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歳の差パートナーの日常と思想を綴ったエッセイ。part1に概要記載しております。お好きな記事からお好きなようにぜひ。
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#小説

【part4】オタクになれないから悩んでるんじゃん。

好きなものに対してのツレの向き合い方は、隣の芝が青々するがごとく、私の理想形でそこにある。 鉄道とツレ 「明日どこ行きたい?」 土曜の夜、ツレの家でいつものようにハイボールとミックスナッツで晩酌をしている時の話。 ツレが日曜終日予定空けてくれたので、「どっか行こう」という話をしていたのだけど、完全にどこ行きたいかを考えるのを忘れていた。 思わず適当な返事をする。 「うーん、映画か、それか旧朝倉邸かな。」 旧朝倉邸は、代官山にある朝倉虎治郎の家。立派な古民家と回遊式庭

【part6】セックスって何歳までできるんだろうね。

ひょんなことから、そのものの意味と限界値が気になったという話。 困ったときは先生頼み 「なあ、森逸崎の彼氏って精力剤飲んでるの?」 一年以上前のことである。会社の先輩から、唐突にこんな相談を受けた。 朝8時だぞ。何を言ってんだこの男。 「朝ごはん何食べた?」くらいのテンションでそう聞いてきたこの先輩は、聞くところによると奥様との間にその手の悩みがあるらしかった。 だから少しでも参考になる情報を収集している、と言っていた。 だとしたら収集相手間違っているけどな、既に

【part7】やらかしとボケは紙一重。

クラッシャー森逸崎 それは私の、飲食店アルバイト時代の不名誉すぎる通り名である。 私が出勤するたびに皿やビールグラスを割ったり、新店舗オープンのために仕入れた茶碗を、同僚のスタッフから「森逸崎、絶対に割るなよ。これはフリじゃないからな、ガチだからな」と注意を受けた3秒後に箱ごと落として16個全部をお釈迦にしたことだったり、あらゆる実績によって「クラッシャー森逸崎」は名付けられた。 もちろん反省するのだけど、何しろ私はその「やらかし」の種類、というか手法が豊富なのだ。

【part8】家康殿のご指示とあらば、謹んで勝ちにいきましょう。

「二番目の女」よりも「仕事断れないイエスマン」よりも世界一都合の良い存在。それが無宗教・無神論者が取り扱うところの「神様」だと思う。 キャッシュレス神社 晴れているのに粉雪が散る景色を見て、自分がいる場所の標高が思ったよりも高いことを知る。近くの山に積もった雪が、風でここまで届いているらしい。 朝八時半。私とツレは今、日光東照宮へ続く参道を歩いている。 どんなに観光客がいても濁らないこの空気も、家康公の墓所を目前にした時の背筋が伸びる感覚も、静岡の久能山から日光への遷座

【part11】朝10分間のドライブデート

ワーゲンバスを運転したい。 60年代洋ロックをカセットで聴きながら、ガタガタする田舎道を思いっきり走りたい。 そんな夢を見て18のときマニュアルの免許を取得したけど、私はそれを失効させた。引っ越しをして住所変更届けを出さないまま、さらにそのタイミンングで免許証の入った財布をスラれ、免許更新のことなど忘れて過ごしていたら、このザマだ。 色々言い訳はあるけれど、簡単に言うとただの更新忘れである。 勿体無いことこの上ない。 そんな私の怠慢話はさておき。 ツレはよく、自分の家

【part12】乳首つねってごめんなさい。

フェチは宗教用語で「呪物崇拝」のことを指すらしく、古来より「それをもっていると災厄が近づかず、幸運がもたらされる」とされてきた。 であるならば、大義名分は十分だ。 二の腕 私はツレの体のパーツの中で、二の腕がダントツで好きだ。 特に夏の半袖の時期。クーラーでいい感じに冷えた二の腕が最高である。運転中、ハンドルを握ったまま無防備に放り出されたそれは、もはや尊い。 ちなみに最初、ツレの二の腕を揉む度に私は「これこれ」と小さい声で言っていたらしい。ほぼ無意識。はたから見たら気