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空想で海をわたる〜11月の読書感想文〜

旅に出たい。

一人旅がいい。もう何年も願って夢見ている。

わりと行きたいと思ったら行ってしまうタイプではあるが、それはいつも舞台だったりスポーツだったりと明確な目的がある行動で、それもまだ泊りがけではしたことがない。

とりあえずスポーツ観戦でアウェイまで見に行く、よくいう「遠征」で、いつか泊りがけで出かけるのが夢なのだが、いまだ実行に移せずにいる。なんなら最近のご時世では、夢がまた遠のいた感が否めない。

現実の世界が息苦しいから、本の中で旅をする。高山なおみさんの「ロシア日記」は、随筆家武田百合子さんの作品「犬が星見た」の道筋をたどる旅行記だ。高山さんはこの「犬が星見た」を何度も読んで、いつか同じルートで旅するのが夢だったらしい。

その夢がかなったことに対する喜びと、知らない街を行く緊張感が混ざり合った文章は、なんともいえず心地よく読み終わるのが惜しかった。移動手段のメインが鉄道のせいか、読んでる時間もゆったり流れていったように感じた。ほっと一息つける良い現実逃避だった。

自分もいつかこうやって旅に出る日がくるのだろうか。来てほしい。心からそう願う。いつかその日が来るときのために、健康や蓄えを備えておこうと思う。

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