セフレから恋人にはなれるのか②
彼との関係が約2ヶ月くらい経った頃に、仕事で海外出張になった。
部署は違えど、彼も一緒だ。
2週間ほど仕事をしては帰国し、また数日後に海外に行くとゆう生活が約3ヶ月間続いた。
その海外出張の間は仕事が終わるとほぼ毎日のように彼の部屋で過ごした。
それはそれは私にとって、本当に幸せの日々だった。
彼と過ごす時間は心の底から笑ったし、
切なくなる時もあったが、
彼は私を満たしてくれた。
何より、彼といる私は何故か出逢ってそれほども経たない頃から
ありのままの自分でいられたし、普段は人付き合いが苦手なタイプの私をすんなりと甘やかしてくれる場所だった。
そして彼は、沢山の甘い言葉をくれた。
*
海外出張も終わり、彼と一緒の仕事は無くなった。
そうなると、職場でもあまり会わなくなり、
いよいよ私達の関係も終わりを告げられるだろうと覚悟していたが、
彼は以前と何も変わらなかった。
私は不安な気持ちを抑えられず、彼に冗談めかしに聞いてみた。
「このプロジェクトも全部終わったし、もう私の必要性も無くなったんじゃない?笑」
すると彼は、
「別にそんな気持ちで付き合ってたつもりはないし、〇〇の事は大好きだからこれからも一緒だよ」と。
私は頭が混乱したが、嬉しかった。
彼は結婚しているし、このまま好きでいてもお先真っ暗な関係だと思ったが、彼と一緒に居たかった。
セフレ という肩書きでもいいから。
*
そんな中、出張などであまり逢えていなかった彼氏と久々に逢った。
ごく普通のカップルなので当然、セックスもした。
しかし、私はその間も目の前にいる彼とは違う異性のことを考えていた。
そうして私は、次のデートで彼氏に別れを告げた。
「別に好きな人が出来てしまった。」と、
伝えると、もちろん彼は納得していなかったし、頑なに拒否され泣きつかれた。あの時の私は冷酷すぎる女だったと思う。
その翌日からも、別れた彼氏から連絡が来たがほとんど返信はしなかった。
*
その後も、仕事の合間を見つけては会いにきてくれる彼の存在にどっぷりと甘えていた。
そんな関係が半年以上続いていた頃、
私は会社を退社した。
金銭面やこれからの仕事も考えずに辞めてしまったので、
とりあえず大阪の実家に帰ることに決めた。
それは必然的に、彼に会えなくなるということだ。
恋人同士でもないし遠距離恋愛というわけもいかなく、私はこれで彼とは自然と連絡を取らなくなるんだろうなぁと思っていた。
彼にも以前から退社の話はしていたが、また改めてきちんと話した。
そして、大阪に帰る直前の日に逢いにきてくれた、
某ジュエリーブランドのネックレスを持って。
「上京してきて、お仕事お疲れさま!大阪行っても〇〇のことずっと想っているよ」と言って、プレゼントしてくれた。
彼の前で泣いてしまった。
もう会えなくなる現実と彼への想いが溢れて、、
*
大阪に帰って、今までの事や気分もリフレッシュしようと一人旅に出掛けたりして無職のまま1ヶ月経った。
そんな中でも彼とはまだ連絡を取り続けていて、
近況を報告したり、ビデオ通話で話すこともしばしばあった。
私の誕生日にはケーキまで準備して、画面の向こう側でお祝いしてくれた。
彼は今まで通り、私を楽しませてくれたり、
「いつか大阪にも逢いに行くね!」と言ってくれたが、
来てくれることはなかった。けど、
少しでも繋がっていると思うと嬉しかった。
*
さすがに仕事を見つけなくてはと思い、今までとは別業種の仕事に3ヶ月間アルバイト雇用として臨時採用してもらえることになった。
しかし、前の職場に比べて張り合いもなく毎日が過ぎていくばかりで以前の会社を辞めたことを後悔もした。
そんな中、元彼から久しぶりに連絡があり、
「仕事で大阪に来ているからご飯でもどうかな?」と。
私は仕事でモヤモヤした気持ちと、
心が寂しかった穴埋めという理由で、元彼に会うことに決めた。
久しぶりに会った元彼は変わらず、話下手で優しい人だった。
お互いの近況を話したりして、帰り際に
「もう一度、やり直せないかな?」と、
言われ、私は受け入れてしまった。
私はこの人と初めて付き合った頃から、
好きな所があるわけでもなく
” 彼氏 ”
という存在を埋めたくて付き合っていただけなんだと思う。
*
数日後、彼に
「前付き合っていた彼とヨリを戻すことになった」と
ラインで連絡すると、
彼は長文のメッセージを送ってきてくれた。
「良かったね」「〇〇の幸せを祈ってるよ」
「またどこかで逢えるといいね」等、お別れの言葉を。
私は「ありがとう、〇〇くんも奥さんとお幸せに。」と返信を送った。
それからは彼からの連絡は途絶えた。
あれだけ毎日ラインを交わし、彼と過ごした日々を思い返すだけでしんどかったし、好きな気持ちで溢れていた。
やはり私は彼にとって何でもない存在だったんだと、
ここまで異性のことを想うのは初めてだった。
心はぽっかりと空いてしまった。
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