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漢〈おとこ〉達の「宴」

「男は、時に覚悟を決めなければならない時がある。」


会社の慰安旅行。
その宵に開かれる宴は
時として
男を魅せる戦場となる。

「余興」だ。


我々主力世代は何一つ打合せしていない。
そんな中、 
一人の男が手を上げた。

「友人の結婚式が近いから余興の練習やりたいです!」

名乗り出た男は、別部署の
若手社員だ。

上長の圧が渦巻く宴会場で
プライベートの余興の練習とは
大きく出たな。

老若男女、全ての社員の視線を浴びながら、
男の合図で余興が始まる。しかし、

その若手社員が暴挙に出た。

「男性の方2名お手伝いお願いします!」

・・・人を巻き込むな。

さらに、私の同期が余計な事を呟く。
「お前行って来いよ。好きだろ、このノリ。」

・・・解ってるじゃないか。

私と、別の部署の男がステージに上がる。
主力世代の意地を魅せつけてやる!



・・・ところで何すりゃいいの?

ふと思った矢先、
若手社員がまた暴挙に出た。
服を脱いで、水着姿になったのだ。

とんでもない胆力だ、しかも・・・
やたら筋肉が引き締まっているではないか。

そして私達2人に

「スマホの曲に合わせて俺と同じポーズを
取ってくださーい!!」

スマホから流れてきた曲は
最早言うまでもないだろう。

「It's My Life」。


狼狽えていた。
後悔している。
自分のボディに自信なんて全くありません。
誰かこの修羅場を止めてください・・・

だが、もう引き返すなど出来ない、許されない。

俺の勇姿を見せてやる・・・

 「Yaaaaaaaa!!!!!」


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・・・その後の事はあまり覚えていない。
頭が痛む、戦いの疲れ(二日酔い)か・・・

宿泊部屋のベットで突伏してる私の
頭の中に、声が聞こえて来る。


「キレてるよ!!」

「腹筋6LDK!!」

「肩にちっちゃい◯ープ乗せてんのかい!!

「体デカ過ぎて固定資産税かかりそうだな!!」


・・・もしかして俺、やらかしました??

恐る恐る、チェックアウトの為
ホテルのロビーへ。

余興を主催した若手社員を始め、
同僚や部下から
次々と同じ喝采を浴びる。


 「ナイスポーズ!!!」


・・・それ以降、私は
未だに一口もお酒を飲めていない。


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