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「心の復興は……まだ半分かな」

震災から間もなく10年となり、ほぼすべてのハード面の工事が今年度で完了します。そこで数字で答えるのは難しいとはわかりながらも、「自身が目指す陸前高田の復興のイメージを10とした場合、今何割くらい復興していると思うか」を思い切って尋ねてみました。

10人の全員が、ハード面は9~10割に近いと答えつつ「でも…」と続きました。心の面では、ソフト面では、うーん…とみなさん悩んでしまわれました。
建物ができても人がいない。
街に賑わいがない。
まだ前を向けない人もいる。
若い人がいなくなった。
経済的には厳しいまま……

総合して8割」という前向きなお答えも2人ありましたが、「心はまだ3割」という方も2人いらっしゃいました。思った以上に厳しい回答に私は言葉を失いました。
数字で答えてくださった8人を平均すると、5.6割。10年経ってまだ半分…

建物ができて賑わいを取り戻すのはむしろこれから。
復興のゴールがわからない。
一人一人が未来に向けて何かやりたいと思わない限り復興したとは言えない。
沢山の市民が犠牲になったことは一生戻すことが出来ない。
大切な方を亡くされた方にとっては、復興が10になることは決してなく、最大が8のまま一生生活するだろう。
どれだけ時間が経っても復興が終わることはない。

思い切って尋ねてみた結果は、想像以上に厳しい陸前高田の現実でした。建物、道路、復興住宅、新築の家々、公園……この10年で街は一変し、新しいピカピカの街が出来上がりつつあります。目に見えるものは整いつつあります。けれど、目に見えない部分に受けた傷は計り知れず、よそ者である私たちはその内面をうかがい知ることはできません。
陸前高田にこれからも長く関わり続けたいと思う私は、この現実をしっかりと心に止めておきたいと思います。

復興はどれだけ時間が経っても決して終わらない。10割になることはない。

まもなく10年。来年にはメモリアル報道が急増するでしょう。その時、報道の表面だけを見るのではなく、見えないものまで見る意識、聞こえないものまでを聴く気持ちを持っていたいと思います。
太田美帆