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手をとり,空を観あげる

ただ静寂に,ただ平凡に,その場にあった何かを拾い上げ,そっと元に戻した。もっとも誠実な行いは,考えないことだと思っていたのに。そのものは,何者かに拾い上げられ,何者かによって何もなかったかのように元に戻された。

突然の豪雨が雲を動かし,宙に舞う何かを蹴落とす。


朝からバタついてしまった。眠る前に聴いた話は,どこかにある世界のことで,なんだか忘れちゃいけない気がして,頭のどこかで覚えていた。指で描いたデザインは,きっと夢物語ではなくて,ハッキリとした,ビビットなものだったんだろう。ワクワクが始まる予感。何かが分かりそうで,もう一歩足りない。

震える,握る手に汗。何かに強制されるわけでもなく,なんらかの約束を果たそうとする。檻なんかから脱走して,世界の謎を解き明かそうよと,手を差し伸べられ,なぜか手をとってしまった。

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昼にはひと段落。微塵も知らないひとを,なんだか忘れちゃいけない気がして,頭のどこかで覚えていた。漠然と秘密にして,淡々とおやすみをいい,淡々と街を行き交う。ふと当たり前に過ごす私生活で,思い出す。人生のチューニングがされている,なんだかアンバランスな日常を,ぬるい風になぞられ,ちょっとした風で吹き飛ばしてほしい。心の通り雨。

滲む,白熱灯のような景色。何かに強制されるわけでもなく,なんらかの秘密を守ろうとする。一生涯のグラデーションも,そのままでいようよと,手を差し伸べられ,なぜか手をとってしまった。

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夜には捨て去る。曖昧な痛みに遮られる筋合いもなく,それでもなんだか忘れちゃいけない気がして,頭のどこかで覚えている。始まりと終わりにこそ,ストーリがある。愛をなぞった日から,その決別された日々を,なんとなく淋しい眼で,手を引っ張って歩く。深呼吸。小さく死んだふりでもしておこう。割れて消えて,嘲笑い。今は一般化した現状は並行で,なんだか交わることもなさそう。

笑う。久しぶりにふうせんガムでも

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