手応えのない空間

擦り切れない会話を垂れ流しながら、寝た。ある人がどうであるとか、またはある人がこうであるとかいう、取り留めない会話の中で、3次元の方向性が示され、あるべき状態に誘われた。そんな彼女の背中を押して、タクシに乗り込む。「んじゃね、また数ヶ月後にでも」「この道をまっすぐ」

かけがえのないなんらかのために、変わり映えのしない何かを。

それはカネや時間の浪費であろうとか、精神的な我慢であろうとか、野暮なことを言わずに、まあ、変わり映えはしないけれど、前を向きなよ。往々にして現在の素晴らしさは、それが過去にならないと感知できない。時間が大抵は解決するんだよ、きっとね。

起きる。繁華街が賑わっていた時刻には帰宅したので、よく寝れた。炭酸水で喉を濡らして、身のままに外へ出る。薄暗い川辺で薄い月を眺める。「ほら、素晴らしいでしょ、世界は」

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