コーナリング中のアンダーステアとは?

コーナリング中 あっ 曲れないと思って少しブレーキを掛けた経験を持っていない人はいないでしょうか?

コレを、アンダーステアが出たという人がたまにいるようですね。でも、本来の意味ので言えば、バイクはすべてオーバーステアの特性を持っています。

元々、一定のスピードで定常円旋回をしている状態でハンドルの切れ角を一定にしたままスピードを上げていくとコーナリングラインがよりイン側に入っていくかアウト側に出て行くかを表している言葉だからです。

内側に入る特性をオーバーステア、逆にイン側に入っていくのをアンダーステアと定義しています。4輪の場合は、すべて弱アンダーに味付けされています。オーバーステアの車は存在していないそうですよ。アメリカでは、事故を起こした車がオーバーステアと証明されたなら訴訟を起こした人の弁護士は大喜びしそうですね。素人には制御できない車になってしまうからです。

また、4輪の場合はスリップアングルでコーナリングフォースのほとんどを稼いでいるので、スピードの変化で前後のスリップアングルが、どちらがより大きくなるかでコーナリング特性が決まってきます。スピードを上げるとリアのスリップアングルが大きくなるとオーバーステアになり、フロントのスリップアングルが大きくなるとアンダーステアになります。

どんなに滑ろうがこけない4輪だから、アンダーだろうがオーバーだろうがさらにニュートラルステアも有るか?
どれでもよさそうですが、スピードが高すぎるとステアリングを切り足さなければ曲れない特性にしておけば、ドライバーに車がアウトに膨らんで「ちょっと、早すぎですよハンドルをもう少し切らないと曲れませんよ」というサインを送ることになるので、市販車には、弱アンダーのセッティングが向いているのです。

でも、オートバイの場合はその特性はオーバーステアなんです。じゃあ、バイクは危険な乗物? なのかと言えば決してそうではありませんよ。

だって、バイクの場合はステアリングの特性は、オートステアだからですね。セルフステアとも呼ばれていますが、マシン自体が勝手に前輪に切れ角を付けてくれるのですから。

2輪車が、オーバーステアになる原因は、同じハンドル切れ角でもバンク角を変えると接地面が変化して切れ角が変わってしまうからです。当然、スピードが上がるとバンク角をより深くしなければいけないのでハンドルが同じ角では、4輪の場合では切り足した状況と同じなので厳密に言えば比較が出来ないことになるでしょうね。

よく雑誌なので、出てくるコーナーではアンダーが出て思ったラインをトレースできないなどという言葉はまったくの意味の無い物です。

バイクの場合は、4輪よりはるかに荷重移動のオプションが選べるからです。特に、車重の軽いマシンの場合は人間のウエイトが全重量に大きな割合を占めていて、その移動幅も自動車に比べると自由に取れます。

そこで、ちょっと思い出してください。

グリップ力は、荷重を掛けると増えること。
増やし続けると有るポイントから頭打ちになってしまうこと。
グリップ円の外側に行くとスリップすること。

4輪では、荷重変化は、ブレーキ、アクセル、ステアリング操作で起こします。

バイクには、それ以外にライダーのライディングポジションという第4の選択肢が加わります。

ブレーキング中には、減速Gで、前輪に全重量をはるかに超える重量が加わりますよね。荷重グラフのグリップ力が頭打ちを起こす値まで来た時にブレーキを少しだけ抜くようにしたり、コーナリング中に加速や減速をする場合にライダーのライディングポジションで、フロントやリアが頭打ちの限界に偏らないよう荷重配分をかえて乗ることが出来るわけですね。

まあ、実際の限界になるのはほとんどなくて、

危険=からだの硬直=バランスを取っているハンドル固定=転倒

というパターンしょうけど・・・。

50センチの幅があれば、歩くのにはまったく支障が出ないはずですよね。でも、コレがきりったった高さ300メートルの断崖絶壁に有ると、たとえ風がまったく吹かない状況であっても普通に歩ける人は少ないです。

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