8月29日 晴天

機械音に呼ばれて洗濯機の蓋を開けた。


タオル類、色気の欠けらも無い私の寝間着に下着、夫のワイシャツやスラックス、肌着に下着、靴下にハンカチ、捻れて絡み合っているものと、丁寧に畳んでネットに入れられたものを持ちあげて解いては、スーパーへ行く時にも使っている買い物カゴへと入れていく。

溜めてしまって少し重たい。
カゴを持って顔を上げると洗面台の鏡に映る私と目が合う。疲弊した目と顔。高い位置で前髪ごと適当に結ばれたお団子頭。顔周りのくせっ毛は父譲りでふわふわとうねっていて、落ちた襟足の後れ毛は首にまとわりついてぺったり張り付いている。

我ながらひどい。ここ最近、たいしたこともやれていないくせに一丁前に疲れてやがる。

カゴを足元に一旦置いて、鏡に映る私に微笑みかけてみた。頼りない微笑みを浮かべた表情は、意識を向けて作ったものじゃなく、今現在の私を明確に映してとても自然だった。あるがまま、といった具合に。大丈夫だと思った。わかんないけど、でも、大丈夫だと思った。


もうすぐ8月が終わる。こうやって当たり前に終わって、流れていく。

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