3つの予告

中学2年生になり、私の顔付きはどんどん醜く変わっていった。額や口周りのニキビ、つり上がった目、動かない表情と短くし始めたスカート。100円ショップで買ったアイラインで目を囲い、マスカラでより強くなれた。


先輩と目が合ったら挨拶をするという謎の暗黙ルールでよく呼び出されるようになり、その目付きが気に入らない、スカートの長さがどうのと言われ、見てもないのに見られたと勘違いして一々呼び出す先輩達は何をどうしたって気に入らないくせに、どうしたいんだろうと思っていた。


中学2年生の1年間は私にとって特別意味もなく、何も起こらなかった1年だったように記憶していたけれど、そうでもなかったらしい。強がることを覚えた故の平穏と、諦めたからこその静寂。薄い出来事がちらほらある程度だと記憶していた。

打ち始めて思い出したのは手首に躊躇い傷を作ったこと、夏休みの殆どを長女の家で過ごしたこと、初めての性行為と失恋に似た、なにか。

あったじゃないか、色々と。


当時の私の肌は今より黒く痩せていて、長女に買い与えられた露出の高い服を纏い始め 、そんな私を長女と次女は、玩具のようによく取り合っていたこと。

友達に近い距離感、陽気で明るい性格、良く言えば少女のような長女と、【姉】という役割のようなものに拘り、羽振りよく振る舞う次女は私がどちらか一方と頻繁に会うと、マウントを取り合うような仲だったこと。


中学1年生の頃の出来事をきっかけに、強がることと、諦めることを覚えた私がつらかったのは根強くある期待が淡く残り続けて消えないことだった。期待すること、希望を持つことをやめられず、砕かれる度に傷付く自分に苛立った。


ちゃんといつも傷付いて、そんな自分を弱いからだと責め続け、より一層表情は固くなり、心の中で何故生き続けようとするのか問いかけては死を想像していた。私は私の理解者になれなかった。

望まれていなかった命。
産まれなかったはずの命。
恥の象徴だった命。


全ての罪の行先は私自身だった。



心の中でしか叫べなかったこと。
欲しかったのは、無償の愛と安寧の場所。

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