新型コロナウイルスはどうやって感染するか 4 飛沫・飛沫核のエアロゾルで感染

1.飛沫、飛沫核、エアロゾルの復習

 まず、簡単に復習です。本当に簡単ですよ。

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 そう、大きさの違いだけです。直径が5μm以上か、それより小さいかだけ。よく、いろいろなところに「飛沫が乾燥したものが飛沫核」と書いてありますが、とりあえずこれ忘れてください。ここに引っかかっているとわからなくなります。

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 そして、飛沫や飛沫核が霧状に広がっているのを周囲の空気も含めてエアロゾルと呼ぶのです。

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 上図ではエアロゾル中に3μm以下の飛沫核しかないようにかいてありますが、これは感染症を考える場合の話です。エアロゾルというのはもっと広く使われる言葉です。環境汚染や環境破壊、地球温暖化の領域などで重金属粒子やディーゼル黒煙,たばこ煙,アスベスト粒子,放射性粒子などでも用いられるのです(日本エアロゾル学会HP)。

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 粒子の種類によってエアロゾル中の粒子直径も異なるのです。

2.エアロゾルの広がり方

 発生後の時間経過でどのように変化するか図示します。

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 くしゃみや咳、程度は軽いですが歌や会話でも飛沫や飛沫核は発生します。いろいろな大きさのものが発生します。べらべらしゃべっていて唾が飛ぶのも一種の飛沫です。そーゆうのはすぐに落ちますよね。

 くしゃみでは,1回あたり約4万個の飛沫と飛沫核が生じるとされていま す。咳では1回あたり約3000個,また,5分間話すだけでも約3000個の 飛沫と飛沫核が生じるとされています(Natural ventilation for infection control in health-care settings.)。

 おそるべし。

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 ジャジャーン!飛沫や飛沫核は大きさによってその後の運命が決まるんですよ。

「大ききものよ地に落ちろ、小さきものは永遠に空を漂うがよい。(コタロ伝第3章第2節   ウソ)」

 大きいものはだいたい2分くらいで下に落ちます。飛距離は2〜5mありますが、大きいものはぶつかったものにベタっと張り付くだけです。だから接触感染することになります。最悪の場合は目とか唇でしょうね。でもそんなのは1m以内にいない限りはそうそう起こることではありません。

どっかにくっついても乾燥に非常に弱いですから、周囲を粘液に包まれた特殊な飛沫出ない限りはアッというまにウイルスは死にます。これ、本当に「アッ」と言う間なんです。

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 ごく小さいのは基本落ちません。密室だとズーッと空気中を漂います。こいつを吸い込んでしまうと真っ直ぐ肺まで入り込みます。怖ろしいですね。

 でも、本当はそんなに怖がることはないんです。

 先日、「新型コロナウイルスは空気中でも3時間生存」というニュースが世間を賑わしましたが、これは基本的に誤解です。研究論文自体は「間違ったことは言っていない」のですが、明らかに「インパクト」を狙っていて、はっきりいって私は悪質だと思っています。とっても特殊な環境下での実験であることが一般の人にはわからない。

 これのもとの論文はこれです。このGoldberg drumというのがくせ者なんです。

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 こんな器械です。これはエアロゾルを長時間空気中で保つために設計された回転する円筒です。明らかに著しく人為的な実験環境です。

 一般的な生活環境とはかけ離れています。

 そのことを明確に示して誤解がないように配慮しなかった研究者のモラルは私には非常に疑問です。

 一般的な生活環境ではコロナウイルスはあっというまに乾燥して死にます。次にそのことを述べましょう。

3.コロナは乾燥すると死ぬ

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 消毒する必要さえありません。エンベロープウイルスであるコロナウイルスは乾燥すると死んでしまいます。そうなりゃ、もちろん感染しません。たかがウイルスなのです。

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 実はこいつらが感染するにはいろいろ高いハードルがあります。

①大きくなるべきか小さいほうがいいか?

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 そりゃ、ちっちゃいほーが有利でしょうって〜。確かにちっちゃきゃ ちっちゃいほど長く漂います。でも実は乾燥してすぐ死にます。おっきいほうがながく感染できます。

②乾燥がキライ!

コロナは乾燥するとあっさり死にます。特に乾燥した屋外だとほぼ飛沫の誕生と同時に死にます。まさに、

「お前はすでに死んでいる」

です。    ひでぶ!

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一般的に2m離れれば感染しないというのはこのためです。2m移動している間に時間の長短にかかわらず乾燥して勝手に死んでくれます。

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「社会的距離」=感染してよーがしてまいが、怪しかろーがどーだろーがとにかく2m離れろ!ってのはそういう意味なんですよ。2m離れてれば何でもセーフ!

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ところが密室で湿度の高い状態だとトンデモないことが起こります。

乾燥しない飛沫核がえんえんと空気中をさまよいつづける悪夢のような状態が起きるのです。

どんなシチュエーションでしょうか???

「エアロゾルが乾燥する距離である2m離れたら感染しないと思われる。しかし,湿気のある密室では空中に浮遊するエアロゾル中のウイルスは乾燥を免れるため,驚くことに,秒単位から1分ではなく,数分から30分程度,感染性を保持する。」
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)のウイルス学的特徴 と感染様式の考察  白木公康 )

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湿気のある密室

恐るべし。ある意味ナチスドイツのガス室みたいなもんかも知れません。
こんな環境になっちまったら新型コロナウイルス...、スゲえ喜びますね。専用感染部屋です。ほとんど中にいる全員に感染します。

感染しまくり

だから換気が大切、屋内は危険で屋外は比較的安全なんです。「3密」の原理もこういうことです。

こういう事例があります。

「密室におけるインフルエンザの集団感染例としては,空調が3時間停止した飛行機内で,1名の患者から37名に感染している 12)。多くの人が密集し呼気のエアロゾルが乾燥しない空間では,感染者がいると感染は避けがたく,多数の感染者が発生する。 点鼻では感受性細胞に到達できるウイルスが限られるが,エアロゾルの噴 霧は上気道・下気道の上皮細胞に直接感染するため,(接触感染の)100倍以上効率よく感染できると思われる。」(前掲)

ダイヤモンドプリンセス号の空調も基本的に屋内循環型でした、ここでは1名の患者から700人以上に感染しています。

カラオケルーム、梅雨時の満員電車、タクシー、バス、朝礼、会議、部署の申し送り、学校、麻雀、パチンコ屋、居酒屋、パブ、スナック、クラブ...みんなこうなる可能性があります。

志村けんさんもその犠牲者ではなかったかと思います。


ちなみに、乾燥しても死なない細菌やウイルスもあります。こういうのは本当に厄介です。結核やはしかがこれにあたります。だから、結核は隔離されるし、はしかは厳密なワクチン接種が行われるのです。

乾燥しても死なない病原体の感染が本来の「空気感染」です。だからコロナウイルスは空気感染しない。ただし...湿度が高い密室だとほとんど空気感染と同じ状態になります。

ワクチン反対派の人はこのような全体像は絶対に目を向けません。自分の副作用の事しか考えない人たちだとも言えます。

「私は自分の判断で社会のためにワクチンをうつ」

のです。強制ではありません。自分で判断して起こったことには基本的に自分自身に責任があります。自由に生きるのには覚悟が必要です。

だからといって医療者や国家は副作用が報じた人を見捨てはしません。戦争で負傷した人と同じですから精一杯サポートします。しかし、責任を医療や国になすりつけて、多くの人の幸福を損なうふるまいだけはやめていただきたいです。

さて.....................、

いまだにこんな馬鹿なことをしている医療法人もあります。永寿病院(というわりには寿命が縮まってブラック)がクローズアップされてますが、さすがにこんなことはやっていないはずです。

名馬鹿朝礼2-1

こんな病院には行かないで下さいね。

みなさん、くれぐれも気をつけて下さい。下らない情報に惑わされず自分でよく考えることがあなたとあなたの大切な人の命を救います。

次は人生にとってとっても大切だけど重症化を招きやすいあることについて説明したいと思います。


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