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常に会社が厳しい経営環境にある理由

今は職場の誰もが貴重な戦力ですね。休まれたら困ると思い、体調管理について神経を遣っています。

さて、……

あなたのお勤め先の業績は好調だろうか。長い不景気、コロナ禍、ウクライナ問題、円安等々たくさんの収益悪化要因と不確定要因が入り混ざる状況下で「好調とは言いがたい」という方も多いと思う。

しかしながら「まあまあです」「何とかいけています」と喉元まで出かかっている方も、少数とはいえおられるのではなかろうか。実際のところ、勤務先の業績が前年よりも下回っている会社ばかりではないからだ。

では、好業績を上げている会社の経営者が「ウチは順風満帆。まさに大船に乗った気持ちでいて欲しい」と社員に言うだろうか。恐らくそう言う経営者は皆無だろう。万一いたら、その人は経営者に向いていないと断言できる。

そもそも会社とは、単年度で終わる存在ではない。反復継続的に営利事業を行っていく社会的な存在である。だからこそ、年度初めに収支見通しを発表し、投資家が健全な判断ができるようにするし、四半期ごとに決算も公表している。

そして、仮に当初の想定よりも収支が良さそうな見通しを得たならば、どうするか。そのまま何もしない経営者はまずいない。

例えば、元々来年度以降に実施予定であった件名を前倒しで実施できないかを検討したり、異常気象やその他の要因で必要となった修繕も応急ではなく恒久対策でやってしまったり、と利益の圧縮に努めることとなる。

但し「何でもアリだから使え」とは絶対にならない。単純に現金を費消すれば良いとはならないからだ。例えば費用性の有無についての意識も必要となる。

費用性という言葉は聞き慣れないかも知れない。要は、国税局や税務署は「それは、費用として認められるのか?」という視点でチェックしてくるので、その問いに対して実施する内容の必要性を説明できなければならない。

もし費用性を否認されると利益の圧縮ができなくなる。そうなるとその分利益が増えるため、利益にかかる所得税も増える。そうならないよう、常に会社内で費用にふさわしい内容かについて一定の判断が求められることとなる。

このように「儲かった=ラッキー!」で終わることはあり得ない。

ただ、これって利益を減らす=会社の経営が楽ではない方向に進むことでもある。結局会社は、収支が悪ければ当たり前のように、そして良くてもこのような取り組みをすることにより、常に「厳しい経営環境にある」ことになる。

もちろん、真綿でくるまれた優しい経営環境がそもそも存在しないというのもあるが、利益を上げそうになってもその圧縮に努める結果、必然的に大もうけにはならない。厳しい経営環境は当然の帰結ということになる。

なお、収支が良いと言えば労働組合からボーナスや賃金ベースアップ要求が来るし、いろいろな方面からの売り込みや出資話も持ち込まれる。株主からは増配要求も出かねない。だから会社としてはどうしても儲かったとは言いにくい。

このような諸事情があることは、会社勤めをしなければ分からないことだった。

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