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実家の維持⑬(事務管理と代理と)

成年後見制度の利用に係わり、成年後見人と代理される本人の間で代理権授受に関する意思表示はなされていない。特段の契約もなされてはおらず、それを擬制する制度だという見方もできる。

私の感覚で申し訳ないが、成年後見制度で認められている代理行為は、民法上の事務管理的な側面もあると感じている。

事務管理って何? という人も多いと思う。典型的なのは、空き家となった隣家の植木が伸び放題、門から玄関までも雑草だらけで足の踏み場もないような状態だったので、最低限の手入れをしたというような場合だ。

この場合、隣家家族との間に契約関係はない。でも、民法ではこの手入れに関わる費用の隣家への支払請求権を認めている。

士業の人が成年後見人に選ばれた場合、報酬の支払請求権が発生する。こういうところが事務管理に似ていると思うのだ。

なお、私のような親族が成年後見人になった場合、家裁に申し立てれば審判を経て適切な報酬の額を決めてくれるらしい……そのつもりはないけれど。

成年後見制度は、事務管理よりも本人の生活に深く関わる代理権を認めている。だからこそ、家裁での適切な人間の選任というプロセスを踏むのだろう。

これも、そもそも親子と言えども子が常に「親のため」を第一に考えるとは限らず、生活に困窮した子が親の財産を使い込むケースもあったためだと考えられる。

それを踏まえると、この制度の厳格さもやむを得まいとは感じた。

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