見出し画像

人は状況で言うことが変わる。君子豹変は褒め言葉

立場が変われば言うことも変わる。これは、世の中ではヒジョーによく見られる現象。異動したら、急に主張が変わる例も最近経験した。

この現象を、肯定的に捉えるか否定的に捉えるかの問題もある。即ち、変わるのは当然と受け止めるか節操がないと批判するのか、である。

「武士に二言はない」という台詞、昔の時代劇ではよく使われた。しかし、これは劇のストーリーの伏線にされる場合が多い。登場人物がこの過去の発言に縛られて、身動き取れなくなるという展開が多かったと思う。

事ほどさように、決まり文句と現実が乖離することは良くあって、考え出すと結構奥深い。

更に「言うことが変わる人」と「その言葉を受ける人」の関係性もある。言葉を受けた側にとって、当初の発言内容が好ましいものであれば変わられたら困るし、不快な話だったのであれば変わってラッキーだろう。

「君子豹変」という中国の『易経』による格言がある。この言葉、本来は褒め言葉である……と言うと驚く人もいるかも知れない。

何と言っても「君子」である。立派な人間であることは前提となる。その人間が、気付いたり目覚めたりすることで、これまでと大きく変わることを表している。実際、豹の毛皮も大人になるにつれて美しくなるらしい。

それが、年月が経つうちに意味が変わったのである。本来は君子であるべき立場の人間の劣化が影響したのかも知れない。今では、コロコロ言うことが変わる人を非難する言葉だと誤解されるようになった。大いに残念である。

ただ、本当の君子の豹変に凡人がついて行けるのか? という問題は別に発生する。美しく立派になるのは良いこと。でも、だからと言って多くの人がついて行ける場合ばかりではないと思う。

時代は移り人が変わっても、偉い立場の人間の言葉一つで周囲の者が右往左往する事態は起こり続ける。今後もそれは変わらないだろう。

これも人間社会の業であり宿命であるというのは、やはり決まり文句的過ぎるかも知れないが。



読んで頂いただけでも十分嬉しいです。サポートまで頂けたなら、それを資料入手等に充て、更に精進致します。今後ともよろしくお願い申し上げます。