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ご結婚報道で「瀬戸の花嫁」を思い出す

秋深しの感を深くした一日でした。でも、台風が発達して日本に向かってきています。東に逸れるとよいのですが……

さて、……

私は高校時代に、阿刀田高さんの「詭弁の話術 即応する頭の回転」という本を読んだ。まだ社会を知らなかった当時、詭弁というものの存在を初めて認識させてくれた本だった。

この本のことを思い出したのは、昨今のご結婚報道による。実はこの本の中で「瀬戸の花嫁」について触れていた一節があり、それがふと頭に浮かんだのだ。

瀬戸の花嫁は、あなたもご存知の通り小柳ルミ子さんの有名な持ち歌である。問題は、この歌詞の

「若いと誰もが 心配するけれど
愛があるから 大丈夫なの」

の部分。

手元に本がなく、40年近く前のおぼろげな読書の記憶に今の自分の考えを混ぜ込んで書くことをお許し願いたいが、この部分には詭弁が含まれている。

そもそも、大抵の結婚の始まりには有り余る愛があったはずである。でも、今の日本において離婚率は3割を超えている。つまり「愛があるから大丈夫」等とはとても言えない現実がある。

愛があればどんなことでも乗り越えていけると一途に思い込めるのは、確かに若さによるものかも知れない。それは私も含めて多くの人が一度は通った道でもあり、少々面映ゆい気持ちになる。

ただ、周囲の人は若いことのみを以て心配しているのではない。愛という移ろいやすい不確かなものに賭けて結婚することの危うさを心配しているのである。しかるに当の本人は、そういうことを全く意識していない。

つまり、若さゆえの思い込みと思い込みによる行動がもたらす少なからぬリスクについての心配であり、リスク発現に備えるにはそれを担保する何か確かなもの、例えば食いっぱぐれない程度の収入が見込める資格等があればと思うのだけど、それについては言及がない。このことも心配のタネである。

この歌の「若い」のひと言には、それくらいの重い意味が含まれているのである。

今から50年近く前に流行った歌謡曲ではあるけれど、その中にも学べる点はある。そして、その学びが今を生きる人達に全く生かされていないことを残念に思う。

お読み頂き、ありがとうございました。

読んで頂いただけでも十分嬉しいです。サポートまで頂けたなら、それを資料入手等に充て、更に精進致します。今後ともよろしくお願い申し上げます。