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年末余情

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さて……

亡父のやり取りしていた年賀状の差出人に、母の名で喪中ハガキを送った話は前々回に書いた。

それを見て香典を送って来られた方がおられた。その香典に付けられたお手紙により、初めてその方と亡父の関わりが分かった。母も「毎年年賀状を送ってくる人」以上の情報は持っていなかったのだ。

その方は旧制中学・大学の同級生で、いわゆる学生時代の親友という間柄であった。

亡父からは、「自分の学生時代は貧乏で、学費や家の生活費を稼ぐためにアルバイトばかりしていた」と聞かされていた。しかし、どうやらそれには多少誇張があったようだ。

常にアルバイトに追われ続けていたわけではなく、青春時代がそれなりにあったことが、その文面から伝わってきた。

遺品の中から重要書類を発掘するシュリーマン活動時に、父の若い頃の写真が袋にまとめられていたのを思い出し、父の死後初めての正月帰省時にそれを改めて見てみた。

その中には、自転車を押す父の写真や、大学の研究室と思われるところで多くの学生と一緒にうつっている写真等があった。それらの中には、この手紙を送ってこられたのはこの方かな、と思うような写真もあった。

それを知ったからどうこうということもないのだが、亡父は本人が言うほど貧しくはなく、それなりに良い人生を送ったのだろう、との思いを強くした。

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