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実家の維持③(多分、認知症には打ち勝てない)

実家の売却について母と話合い、その納得を得てから改めて不動産仲介業者に来てもらうと仮定する。

でも、契約本番となるその時までの数日間に、記憶はかなり失われてしまうだろう。その喪失が「どの家の話か」或いは「なぜ家を売るのか」といったレベルで留まれば、何とかリカバーできるかも知れない。しかし、断言はできないものの、そのような話をしたこと自体を忘れてしまう可能性の方がはるかに高いと思われる。

この点、不動産仲介業者からは「登記手続をする司法書士に対しても、ご本人から売却の意思をきちんと伝えてもらわないと困る」と釘を刺されている。

更に、忘れかけていたもう一つの難点が浮上してくる……というのは契約締結となると、署名は必須。書字に自信を失った母に署名させるのは、相続手続時と比較しても一層ハードルが高くなっている。

これらのことを総合勘案すると、本人による実家の売却は断念せざるを得なくなる。

昨今、ハンコの捺印のために出社する習慣がテレワークを妨げているとして、捺印削減の機運が生まれてきている。でも、そうなると本人意思の確認手段として署名の重みは相対的に増す。捺印の削減検討にあたり、老人の書字問題も視野に入っているのだろうか?

署名も、誰もが当たり前にできることではない。署名弱者はリアルに存在しており、その方達への配慮も忘れないよう強くお願いしたい。

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