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サラリーマンとポジショントーク

涼しくなったので、家の北側の空き地の草抜きをしました。基本的に日陰ですが、雑草は油断した隙を突いて育ちますね。

さて、……

私のサラリーマン生活は30年以上が経過している。サラリーマンほど、置かれたところで咲く人もいれば枯れる人もいる生き方はないと断言できる。

置かれたところでまずは生き延びねばならない。そのためにはポジショントークを多用することになりがち。そうすることで自らの主張の正当化を図り、己の価値を保つことに努めねばならない。

同じ会社の中とはいえど、皆が完全に同じ方向を向いていることはあまりない。大体は同じ方向を向いてはいる。でも、微妙に角度が違うことはありえる。

例えば、営業部門と経理部門は、基本的に方向性が合いにくい。営業部門は販売利益の拡大が組織としての一番の目標となるが、その活動に伴う経費のチェックは経理部門が担う。

もちろん、これまでの経緯も踏まえて、部門間のおおよその方向性は整合している。でも、常に新しい事例は生まれるし、それぞれの組織の物の見方は違うので、差異はどうしても生じる。

特に、経理部門は社外に国税局というカウンターパートを抱えている。国税局は定期的に会社にやってきて帳票チェックを行い、キチンとした会計処理がなされているかを確認する。

使ったお金が全て経費として認められるとは限らない。費用性の説明が求められることもある。費用性とは、費用として妥当なものかの判断である。もちろん、費用の支出時期も確かめられる。

国税局は費用性を否認する方向でものを見がちとなる。法人所得税は企業利益に課せられるが、利益は収益から費用を引いたものである。従って、費用性の否認は、利益の増⇒法人所得税の増=国の税収の増、となるのだから当然である。

経理部門は国税局に対する説明責任を負っているのだから、営業経費に厳しくなるのは当然である。

同様に、生産ラインと企画部も方向性がズレやすい。企画部は予算策定も担うのだけど、生産ラインはどうしても手元にお金を置いておきたいと考えるからだ。

生産ラインは機械を動かしており、機械を動かしていれば経年劣化は不可避。その補修は必要となるし、場合によっては買い換えも考えねばならない。しかし、企画部は予算策定でそういう余裕しろの積み上げは嫌がる。

このような感じで、真っ向からの対立はないものの、基本的に所属する組織の目指すものが違う以上、意見の相違は出やすくなる。

もっとも、サラリーマンには異動がある。そうなると、異動した先の思想に合わせた発言をするようになる。まさにポジショントークをすることになる。

これを、ポリシーがないと批判するのは酷である。むしろ君子豹変は褒め言葉であり、サラリーマンの鑑だと賞賛すべきところだと考える。

異動で違う立場からものを見ることで、複線的な視野が養われより上のポジションに行ったときに役に立つ。そういう効果もある。サラリーマン社会は、そういうバランスの上に成り立っている。

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