老人ホームに母を見舞う①

見舞うという言葉は、元々は訪問するという意味である。しかし今では、病気やけがをした人への慰問という意味に変わっている。

老人ホームは母の居所であり、訪問すると表現すべきなのだろうけれど、やはり見舞うという言葉の方がしっくりする。一方で、私にとっては「よそ」であり、実家ではない。

老人ホームのコアは、衣食住のうちの食住の提供だと思っている。それに加えて、退屈しないための余暇活動、健康維持のための医師・歯科医師による巡回診療、身なりを整えるための理美容師による巡回調髪、そして嗜好品・日用品の移動販売等が行われ、通常の生活であれば、施設内で賄える仕組みとなっている。

一方で、エレベーターホールには暗証番号が設定され、それを押さないとホールに入れないし、更にエレベーターも暗証番号を押さないと動かない。自由に外には出られないのである。また、部屋の窓は15㎝以上開かないようになっており、転落防止がなされている。

母は、金婚式を過ぎるまで添い遂げた父を失い、足の骨折で一人暮らしが困難となり、施設に入居することとなった。ただ言われるままに、その入居を受け入れた。

1ヶ月後、どうしているかと思って訊ねたところ、割と元気であった。しかし、話をしていると、どうも様子がおかしい。話がすごく飛ぶ。そして語尾がすごく不明瞭になり、肯定なのか否定したいのかがわかりにくくなっていた。

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