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相続税の申告⑬(慣れ親しんだセット書類への愛着)

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さて……

「いざ鎌倉」ならぬ「いざ税務署」の覚悟を決めて実家に車で向かったのは、本格的な秋を迎えた頃であった。

その車中で私は、これまでにやってきた手続を脳内で追体験し、それらの体験が既に懐かしく感じられる程度には時が過ぎているのを感じた。

家に着くや母への挨拶もそこそこに、税務相談時に相手に見せる相続税申告様式とそのバック資料が全部あるかの確認をした。それが終わると、明日はいよいよ決戦の時だと腹を括った。

申告様式に添付するバック資料の中には、亡父の生まれてから死亡までの一連の戸籍謄本、母・姉・私の印鑑証明書、姉・私の戸籍謄本等も入っている。

これらのセットは、銀行や証券会社の相続手続でも、不動産の所有権移転登記でも用いられたものである(注:この時点では、法定相続情報一覧図制度は始まって日が浅く、相続税申告には戸籍謄本の束が必要であった)。

手続の度にそれらを提出し、時にはその郵送と送り返しもあって、これらのセットの移動距離は約2,500㎞になっていた。長い間、役目を果たしてきたこのセットとも、明日でお別れになる可能性が高い。そのことを考えると非常に感慨深いものがあった。

その時に思い浮かんだこととして、映画にもなったアポロ13号のアクシデントがあった。

地球に帰還する直前まで救命ボートとして使用された着陸船アクエリアス。それと別れる時の、宇宙飛行士達の世話になったという感慨は、恐らくこんな感じなのだろうと勝手に思い込み、瞑目久しく感慨にふけっていた。

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