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「無敵の人」を放置する社会では、災いがわが身に降り掛かりかねない

断続的な大雨ですね。九州などで線状降水帯の発生可能性が指摘されています。水害には十分お気を付けください。

さて、……

今回の記事は、前回の記事の続きである。


安倍元首相暗殺の件は、元々社会の奥底に沈潜している物言わぬ不満の声の主に対し、1つの選択肢を提示したという見方もできる。もう少し分かりやすく言えば、「拡大自殺」願望の人達に「お、そういう手もあるか」と知らしめた可能性があるということ。これは地味に怖い。

これまでも「無敵の人」が社会を震撼とさせる犯罪を起こしてきたことは、私が改めて申し上げるまでもない。

秋葉原の事件は、轢殺⇒刺殺だった。結構な被害を生んだ事件であるが、今回の犯人の手口は、もっと大量殺人ができる可能性を示してしまった。そういうシビアな一面がある。

警備がより厳しくなることで、政治家が襲われる確率が下がることはほぼ確実。でも、それ以外の無差別殺人で被害者の「拡大再生産」が行われる可能性があり、それが本当に恐ろしい。

警察の発表に寄れば、令和3年の日本の自殺者の数は、約21,000人。https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/jisatsu/R04/R3jisatsunojoukyou.pdf

そのうち1%でも「自分だけ死ぬのは理不尽だ」「世間を驚かせてから死にたい」と心得違いする人間がいたと仮定すると、それだけで210人の「予備軍」がいることになる。

そういう彼らに、密室での硫化水素発生やガソリンを撒いて放火という手口があることは既に拡散されてしまっている。そこに、新たな手口が晒されてしまったのである。これを危険と言わないとしたら、何が危険なのだろう?

日本の警察は優秀だし、その一翼を担う公安警察も社会の安全に寄与してきた。ただし彼らは、組織犯罪には目を光らせてきたものの、単独犯で逮捕歴もない人はほぼノーマークだろう。

まして、ある属性の者をただちに「予備軍」扱いするのは人権問題になるから、それもできない。しかし、何をやってもうまくいかない人のマイナスの思いは社会の低いところで間違いなく存在し、育つだろう。

そして、これからの日本のリーダーシップの発揮度合いによっては、予備軍が増え、情報や武器をどんどん凶悪化させていく可能性が高い。

コロナ禍でイベントが中止となり、仕事がなくなって困っている興行主の方もおられるだろう。その中の1人でも川の向こうに行ってしまったら、と考えるとかなり怖い。令和四年の怪談と言えるくらいに。

今後、各国の警察やシークレットサービス会社の教典に、本件が「警護の失敗」例として記載され、語りつがれるのはほぼ間違いない。

ここで私見であるが、警備の失敗を誰か個人の責任にするのは違うとの思いが強い。ましてできなかったから辞めろ、というのもおかしい。それは政治家だけで良い。

もちろんやる気がなかったなら別だけど、そうじゃないなら軽々にやめられても結局もっとひどくなる可能性がある。そういう意識を持っておく必要がある。個人を責めて溜飲を下げるのは、真面目に避けるべき行為である。

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