pixivであげてたとある乙女ゲームの妄想駄文

『ねぇ、もしも二人が』4

手をひかれながら原田さんと京の町を歩く。

「千鶴、あれ見てみろよ。」

原田さんに促されてそちらをみるとそこは簪がいっぱい並んだお店だった。

「わぁ、素敵な簪ばかりですね。」

「なぁ、千鶴。」

「はい?」

「簪を渡してぇ女がいるんだが、よ。選んじゃくれねぇか?」

原田さんの言葉に私の笑顔が凍りつきそうになるのを感じた。

何、この気持ちは・・・。

「千鶴?だめ・・か?」

原田さんからもう一度尋ねられて私は慌てて返事を返す。

「いっ・・いえ。あのっ・・どういった方なんでしょう?その簪を差し上げたい方って。」

「ん?ああ。可愛くてな、そうだなぁ・・とても綺麗な黒髪をしてる。」

原田さんは照れくさそうに少し頬を赤くして答える。

その仕種表情に何故か胸がざわついた。

この気持ちは・・・焼きもち?

「お前の感覚でいいんだ。これだと思う物でよ。」

心のざわつきを気づかれないように笑顔を作りながら私は簪を選ぶ。

ふと目にとまった簪があった。

それを手に取り原田さんへと渡す。

「これならきっと綺麗な黒髪にも映えると思います。」

「おっ、そうか。んじゃ、こいつに決めるか。」


嬉しそうに言う原田さんの顔を見ていると胸がざわつく。

簪の代金を払い終えると原田さんはそれを袂に入れて私に話しかける。

「待たせたな千鶴。」

優しく笑いかけてくれる原田さん。

でも、私の心は暗く沈む。

悟られないために笑顔を作る。

原田さんはまた、私の手をとると歩きだす。

「何処へ行くんですか?」

「お前、桜みたいんだろう?今からとっておきのとこ連れてってやるよ。」

そういってにこりと笑うと私の手をひきゆっくりとしたあゆみで先へ進む。

原田さんは何も言わずただ私の手を優しく握り歩いてくれる。

「あ、あの、原田さん。」

私が話かけると原田さんはこちらに目をむけるけど返事をしてくれない。

「原田さんっ、どこに行くか教えてください。」

私が言うと原田さんは困ったように言う。


「なぁ、千鶴よ、黙ってついてこいって言ったろ。頼むから、俺を信じろや、な。」


そう言うと私の頭をくしゃくしゃと撫でる。

これをされると私は不思議と落ち着く。

何故だろう・・・・どうしてだろう・・・。


暫く歩くと神社の境内が見えてきた。


「ほれ、千鶴こっちだ。」

原田さんは言うと私の手をひき更に奥へと進んだ。

そこには特別大きな幹をした桜が満開の花を咲かせていた。

「す、すごく綺麗・・。」

私は無意識に言葉を発していた。

ただただその桜の大木を見上げ見つめていた。

「な、特別な場所だっていったろ。お前をいつか連れてきてやろうと思ってたんだがまさかこんなに早く機会が訪れるとはおもわなかったけどな。」

原田さんは優しく微笑む。

原田さんは優しい。

いつも回りに目を配る人だ。

私がいつも屯所から山桜をみているのを気がついてくれたのだろう。

だから、こんなに綺麗な桜のある場所を探してくれてたんだ。

「あ、ありがとうございます。原田さん。」

「ん、ああ。喜んで貰えてよかったぜ。千鶴はほんとに桜が好きなんだな。」

桜はもとから好きだった。理由は単純に綺麗な花だと思ったから。

でも、今は違う。

儚げなのに凛として咲く桜を見ていると新選組を思わせる。

私は新選組のみなさんが好きだ。

だからこの花を見るとあなたたちと重なる。

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だ~文は続く~よ~🎶

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