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『薄紅の風花』

短い季節に咲く花を

お前は愛しいと言う。

儚げに咲く花を見て

何処か懐かしそうな目をする。

薄紅の花びら舞う姿を

風花のようだと

いつかの短い季節に言った。

手を伸ばし

散る薄紅を掌に。

それを見る

お前の瞳に溜まる雫。

堪えきれずに溢れて

頬を伝う。

その雫を拭う筈のこの俺は

傍には居るのに

透けるその手は雫を通す。

お前の涙を拭えない

俺を思って泣かないでくれ。

お前の幸せを願っているから。

強い風が吹き

薄紅の花を散らす。

お前はその下で

泣き笑いの笑顔で

「また、来年も貴方に逢いに来ます」と言う。

次に吹いた風の後

薄紅の風花の中

お前は笑っていた。

気持ちを切り替えたように。

お前の幸せ願い

来年もまた此処に居よう。

お前がお前の幸せ掴み

いつか来なくなる日まで…。

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