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OMM 2020の参戦記録

11/7-8に野沢温泉村で開催されたOMM JAPAN 2020 NOZAWA ONSENに参加してきました。

OMMとはOriginal Mountain Marathonの略でイギリス発祥の山岳レースです。

このイベントはあえて気候条件の厳しい時期に、必要な装備を全てバックパックに背負い常に携行し、ナビゲーション力、セルフエマージェンシー力、判断力など、全てのマウンテンスキルを駆使して挑みます。参加者には山岳地を安全かつ正確に行動するための経験、体力、ナビゲーションスキル、野営技術が不可欠であり、まさに「山の総合力」が試されます。
FINISHまでの道筋は参加者各々がその時置かれた自身の状況を把握し、自分の技術、体力を見極めながら、前進するか、戻るか。時には過酷な状況下でレースをやめるか、続行するか。常に判断を迫られながら自分自身で行動を導き出します。広大な自然と真正面から対峙しながら、自分の体力、走力、極限の精神状態と向き合いながら、2 日間にわたり繰り広げられるダイナミックなマウンテンレースを体感してください。

公式HPより引用

OMMの特徴として、スタート直前に配布される地図には等高線や道路など最低限の情報のみ書かれていて複数のチェックポイントが配置されています。
定められたルートは無く、決まっているのはスタートとゴールのみ。
ストレートとスコアという2つの競技に分かれていて、ストレートはチェックポイントの回る順番が決められており1つでも取りこぼしたり、時間に間に合わないと失格になります。スコアはチェックポイントを回る順番やどれを取るかは自由となってます。
2日間の開催で夜は指定のキャンプ地に泊まる必要があり、それに伴う道具も背負っていかなければなりません。
また、単独の参加はできず必ず2人1組で参加するのも面白いところです。

今回は、開催地でもある野沢温泉のAJB Brewingに勤めるピロ君が僕のバディとなりました。
「今年のOMM野沢だってよ」とピロ君から連絡がきて、その場のノリで参加することに。お互い初めてのOMMです。

OMMの2週間前には練習兼ミーティングと称して双六岳に登山にも行きました。(結果的に降雪で鏡平で撤退)

では実際に使用した地図を見ながら2日間を振り返ろうと思います。

1日目

1日目は地図左下のスキー場をスタートとし、地図中央下のスタカ湖がゴール。

全体地図の左下の部分を拡大したもので、実際はこんな順序でCPを回りました。

スタート地点の少し手前にイベントセンターがあり、物販や軽食の提供をしていて、エントリーもここで行います。
僕らはスコアのミディアムにエントリーし、1日目のスタートは9:15。少し余裕を持って8時頃に会場に到着しました。
会場にはすでに多くの出場者が。ほぼ全ての人がいわゆるUL装備で圧巻の光景でした。

ゲレンデを上がったところにスタート地点があります。
意外と急な登りでいきなり息が上がりました。ここで友人にも何組か遭遇し、挨拶を交わす。

例年はクラスごとに一斉にスタートするようですが、今年はコロナウイルスの影響もあって30秒ごとに1組ずつのウェーブスタートとなっていました。

前の組がスタートすると地図が配布されるので、すぐに地図を読み込み作戦を立てます。
すすむ道も人それぞれでスタートしてすぐに3方向に人が分かれていきました。
僕らはひとまずAM(40)のポイントを目指すことに。

山道を抜けて一度、公道に出てからゲレンデへと向かいます。道はわかりやすかったですがかなりの急登に開始早々体力を奪われました。
なんとか1つ目を無事に獲得できてほっとしたのもつかの間、足早に次のポイントDC(30)に向かいます。
スタート直後は人の流れもあってポイントもすぐに見つかり、「なんだか物足りないな」なんて気持ちも。ここからOMMが本気を出してきます。


AG(10)に向かうのに少し戻って公道に出ようか迷いましたが地形を見るとなだらかな尾根だったので突っ切ることに。歩き始めこそ踏み跡がありましたがすぐに背丈を超える笹藪に。苦労しながらコンパスを頼りに前に進むも先行者に引っ張られ結局無理やり公道に出る羽目に。ワイルドです。
AG(10)を無事に獲得して次はCL(30)を目指します。地図上の破線は踏み跡を指しているのでそれに沿っていくだけなのですが、地図にはない踏み跡もあり気づけば全然違う道を歩いていました。尾根上の道を緩やかに下っていくはずでしたが、どうやら沢に向かっているぞ、と気づいた頃には時すでに遅し。

ひとまず尾根上まで上がろう!ということで進行方向を変えるもすでにそこに道は無く。藪の少ないところを探しつつ斜面を無理やり這い上がっていきました。
30分くらいかけてようやく尾根上へ。歩くべき道を見つけて思わずハイタッチをしました。勝手に迷っただけなんですが。
なんとかCL(30)を獲得しAG(10)まで正しい道で戻り、公道を通りながらAA(20)に向かいました。この頃から少し雨が降ってきたのでカメラをザックにしまったため写真がありません。

少しずつ地図読みにも慣れてきて、ゴールも近づいてきました。
時間に余裕があったのでDM(40)を目指すことに。CU(20)近くの五叉路、通称"卍"は特徴的だしそこに差し掛かったら北に進むだけ、と思っていました。
順調に歩みを進め、緩やかな尾根を登った先にある小さなピークにたどり着きました、が!そこにあるはずのポイントが見つかりません。そういえばスレ違う人も全然いなかったような。2人で来た道を思い返しながら地図と見比べますがどこで間違えたのかわからず混乱状態に。様々な仮説を立てつつ泣く泣く来た道を戻ることに。後になれば、なんでこんなところで間違えたのだろうといった感じなのですが"卍”の分岐箇所を見落としていてさらに奥の△1326.9に向かっていたようです。
正しい道も判明しましたが時間的にDM(40)は諦めることに。

ゴールであるスタカ湖までの途中にあるCU(20)とDF(10)を獲得して結果的には制限時間より1時間ほど早くフィニッシュ。

OMMは参加者全員が一つのキャンプ地で夜を明かします。
僕らがついた頃にはすでに多くのテントが立ち並んでいました。
普段の山のテント場と違って、UL系のテントが多く、まるで博覧会のようでしばらく場内を散歩していました。

ゴール付近には早速今日の順位も発表されていました。
僕らは結局160点しか獲得できず、順位も55/73といった結果。
「100点取れれば御の字」と話しながら始めたOMMでしたがいざ順位が出ると悔しいものですね。取りこぼした、DM(40)がとれていれば!なんて話しをしながら地図を見返し反省会を。

日が暮れ始めた頃から晩ご飯を食べました。OMM名物?の宴会も楽しみにしていましたが、夕方から強い雨も降ってきたので2人でしっぽりと。持ってきたクラフトビールや焼酎を飲みながら明日の作戦やくだらない話をして20時頃には就寝。

2日目

OMM2日目。
1日目とはレースの舞台となるエリアが若干違います。

2日目、前日の反省を活かし僕らが辿ったルートはこんな感じ。

夜は雨も降っていて、事前情報だとかなり冷えるという話もあったので寒さは心配していましたが結果的には明け方で5℃程度。湖畔沿いなので冷たい風が吹き、風上に寝ていたピロくんのビビィが風をうけ膨らんでいたのが印象的でした。

スコアミディアムは8:00頃から順次スタート。
スタート直前に渡される地図をチェックし、チェックポイントの配置を見て「今日はイケるかも」とお互い顔を見合わせました。
というのも、1日目に迷いこんだ△1326.9の周辺に3つもチェックポイントが配置されていたからです。
ポジティブな意味での身から出たサビとでも言いましょうか、前日のミスが活きてくる展開になるとは思いもよりませんでした。

前日の疲れを引きずりつつも足早に歩みを進めていきます。
ゲレンデを歩くことが多く、本場イギリスさながら?のこんな風景の道を歩くことも。そして本日1つ目のAE(30)を獲得。
"卍”を起点に正しい道をとり、先に進みます。前日も通ったしラクショーなんて言いながら歩いてましたがうっかり道を間違えそうになりました。油断は禁物です。
CJ(20)は徒歩道の分岐にありと書いてありましたが、藪の中に隠すように配置されていました。AE(30)もそうでしたが、1日目に比べるとチェクポイントの置き場にも一工夫してあるようです。

少し戻ってDJ(40)へと繋がる尾根を下っていきます。
藪の狩り跡が残っていて、斜度はゆるいのにとても歩き辛かったです。何度も藪がレインパンツに刺さりズタボロに。

小さく写っているのが、IKEJIRI HIKING CLUB & Ponsa Walking Gearのお二人。僕らと同じスコアミディアムで参加していてこの日はルート選びも似ていたので何度も会いました。
少し戻ったところでAD(40)も無事獲得。テンポよく4つのチェックポイントを獲得できて気分ものってきました。

AU(10)を経由して再びゲレンデを下ります。景色も開け、天気もよくなってきてとても気分良く歩けました。

下りなのでサクサク進めると思っていましたが、AN(20)からCC(10)に向かう道はかなりの急坂。ストックをフル活用するもかなり足に負担のかかる下り坂でした。
CC(10)は初日のスタート地点でもあり、見慣れた地形にほっとしました。

次に進む道を確認しつつ一度ルートを外れ、BM(40)を目指します。
ここは初日の1つ目のチェックポイントに向かう道沿いなので、道迷いの心配はなかったですが、再びのゲレンデ直登に心が折れそうになりました。

CN(30)はゲレンデ上にある鳥居の脇にありました。すでにゴールも見えていて後は坂を駆け下りるだけ。Lunettesチームは歩くのをやめビールを飲んでいました。僕らも当初の作戦だとCN(30)が取れたらいいよね、という具合でしたが時計を見ると残り60分弱。時間と体力的にややチャレンジングでしたが一度ゴールから遠ざかり2つのチェックポイントを取りに行くことに。ここでの踏ん張りは1人だったら難しかったかなとも思います。バディあってのチャレンジング。
ラストスパートということで少しだけ走り、CH(30)とCF(10)を無事に獲得。
来た道を戻り、ゲレンデを駆け下りてゴールとしたかったですが時間もギリギリだったのでルート変更し公道を回っていくことに。

なんとか時間に間に合い、無事にフィニッシュ!思わずハイタッチ&バディポーズで記念撮影。頑張った甲斐あって2日目は280点を獲得。記録用紙が出てきたときは思わず泣きそうになりました。
結局2日間で440点を獲得し33/64位でした。ちょうど真ん中くらいで、初回にしてはまあまあ頑張れたかなと思います。


初めてのOMM、最高に楽しかったです。いつものハイキングとは違った山との向き合い方でつくづくアウトドア最高!と思った2日間でした。性別も年齢も様々な人が参加していて、本気で走る人からのんびり楽しむ人まで。人それぞれのOMMといった感じで参加している皆んなが楽しそうだったのが印象的です。「来年も出るか?」と聞かれば即答で「もちろん!」と答えるでしょう。
バディのピロ君とはいいバランスで協力し合いながら2日間を駆け抜けられました。ありがとう!また来年もよろしくです。

レース後は温泉にとっぷりと浸かり、里武士でクラフトビールを堪能してから温泉街にある居酒屋で打ち上げ。嫁さんと母親と合流し、Lunettesチームも交えての飲み会は最高に楽しかったです。

最後に、今回2日間を共にしたギアリストです。
食料と水、身につけるものを除いたベースウェイトは約5.5kg。大会直前まで積雪があったり当日も悪天候が予想されていたため防寒対策はかなり悩みました。
ビビィや予備のベースレイヤーは場合によっては省きたかったですがこれらは必携品のため荷物に入れることに。夜間は氷点下になることを想定していましたが結果的に明け方で5℃位までしか下がらなかったのでややオーバーな防寒対策となりました。
テントのみ共有装備であとは各個人で。クッカーを共有にするか悩みましたが結局ラーメン用に持参しました。
普段のハイクに比べてよりシビアにパッキングについて考えるいい機会となりました。


レース翌日にストレートで参加していたというMoonlight Gear大阪の店長の方にお会いしました。ストレートに出る人のパッキングがとても気になったので聞いてみたのですが、なんとパックウェイトで3kgちょいとのことでした。
これにはかなり衝撃を受けました。水と食料抜いたら、1kgちょいってこと?必携品も多いなか異次元のパッキングに一同唖然。なんだかその方を始めOMMのトップランカーの方々がとてもカッコよく、「オレも強くなりてぇ、、」なんてことを思ったのでした。



以上、長くなりましたがOMM 2020の参戦記録です。
誰かの参考になれば幸いです。ありがとうございました。

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