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排出権相場が語る政策の潮流 9/9

内容

・欧州市場で二酸化炭素排出権が値上がりしている

・新型コロナの影響で3月に17ユーロ台(CO2分の重量=1トンあたり)まで急落した相場が、8月末時点で史上最高値に迫る30ユーロまで大きく反発している。

・経済活動に急ブレーキがかかって域内でのCO2排出量は激減しているため排出権を買う必要性が下がり、本来なら価格が低迷するはずだ。

 →注目!

・欧州域内では、企業などに排出量の上限を課して過不足分を取引する「キャップ・アンド・トレード」が2005年にスタートした。

・最近は短期的な実際の需給よりも、もっとマクロ政策から長期トレンドを先読みして収益化しようとする取引が増えている。

 →ふむふむ

・EUは50年までのCO2の排出量実質ゼロを目指す「欧州グリーンディール」を掲げている。

・投資家はこの欧州でのトレンドにbetしている。

・排出権が値上がりすれば石炭発電を続ける経済合理性はなくなり、天然ガスや再生エネルギーに移行せざるをえなくなるため「相場上昇=政策の成功」である

用語集

・排出権取引

環境汚染物質の排出量低減のための経済的手法のひとつ。

全体の排出量を抑制するために、あらかじめ国や自治体、企業などの排出主体間で排出する権利を決めて割振っておき(排出権制度)、権利を超過して排出する主体と権利を下回る主体との間でその権利の売買をすることで、全体の排出量をコントロールする仕組みを、排出権取引(制度)という。

二酸化炭素(CO2)など地球温暖化の原因とされるガスに係る排出権や、廃棄物の埋立に関する排出権などの事例が見られる。

京都議定書では、温室効果ガスの排出権取引が第17条として採択された3つのメカニズム(京都メカニズム)のうちのひとつにあげられている。国や企業が温室効果ガスの削減目標を達成するための補完的手段として、先進締約国(Annex B)の温室効果ガス排出削減量が京都議定書の定める所の削減目標値を達成し、更に削減できた場合に、その余剰分を金銭を対価として他国へ売却できる仕組み(または逆の場合には購入する)。

イギリスは2002年4月に世界初の国内取引市場を作り、日本も2005年以降に国内市場を作ることが予定されている。

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