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私は 「秘宝館の娘 」である。 実家が突然、秘宝館になったのだ。 きっかけは父のガンからの生還。 彼は生から性へのさらなる飛躍をしたのである。 それは突然に訪れた。 日に日に家の中に、いわゆる「開かずの間」が増えていったのだ。 「なぜ応接間が立ち入り禁止?」と父に聞いてもニヤニヤとしているだけで決してそのワケを答えようとしない。 母においては、その話題に触れてはいけないという殺気をビンビンに放っている。 ……ということはある程度の予測はつく。 よからぬことに違いな
もう二十数年前になるだろうか。 なにを思ったのか、父がとつぜん… 「猿かわいいのぉ」 と、つぶやいた。 危ういながれを感知する力をもつことは我が家では必須だった。 「そうでもないとおもう」 と、家族は即座に淡々と否定した。 日○猿軍団やムツゴロウさんの動物番組が連日テレビを賑わしていた頃だ。 だいたいのところ、そういうドキュメントをみて、そのつぎの瞬間に父は必ず「わしもやろう」というのである。 案の定、「日本猿を飼いたい」といいだした。 「猿なんて飼ってどう